第670話 ドアを開けて。 ページ10
こんな風に泣いたって
ジヨンを心配させて
困らせてしまうのはわかってるのに。
わかってるなら
電話を切ってしまえばいいのに。
だけど私は一緒にいれなくてもいい、
電波で繋がってるだけでもと思い
受話器に耳を押しあてたまま
堪えきれなかった涙を流していた。
JY「A？おーい、Aー？」
A「…うっ…うぅっ…(泣)」
ジヨンの私を呼ぶ声だけでも
今の私には"ひとりじゃない"と
言ってくれてるみたいで心地がいい。
あぁ…前にもこんなことあったなぁ…
チャンミンが
"東方神起のチャンミン"だって
まだ知らなかった頃。
韓国に帰る事を知らされて
私はその時に恋してる事に気づいて
「好き」って泣いてしまった。
あの時はチャンミンが私に
自分の苦しみを話してくれてたのに
私は気持ちを押しつけて泣いて
困らせてしまった。
だけどチャンミンはそれでも
ずっと黙ったままで
電話を切らずにいてくれたなぁ…
それがすごく嬉しくて…
……ほら。
誰と何をしてても、やっぱり
あなたの事を思い出してばかりなの。
それだけチャンミンが必要なの。
愛してるの…
JY「A…聞いて？」
何度目かのジヨンの私を呼ぶ声に
やっと「うん？」と返事をする。
JY「あのぉー…まずぅ、泣いてもいいっけどぉ、ドア開けて？」
A「……へ？泣」
JY「私、寒くて死んじゃう！」
ドア…？泣
A「……？どこのドア？泣」
「早くぅ〜〜！！」と
電話の向こうで叫ぶジヨン。
その大きな叫び声が
玄関の外の廊下に響いて微かに聞こえる。
私は声のする方へと
だんだんと早足になりながら
玄関のドアを開けた。
―――― ガチャッ！！
A「……(泣)」
そこには大きなカバンと
たくさんの荷物を足元に置き
テイクアウトのコーヒーと
ケータイを持ちながら寒そうに
マフラーに顔を埋めて足踏みするジヨン。
JY「もう限界だよぉ〜！！」
A「……(泣)」
JY「さっむいし、トイレもしたいし…泣きたいのは私だよぉ！」
A「うぅっ…(泣)」
JY「おぃっ！聞いてるかぁ！！」
A「じ、ジヨォ〜〜ン(泣)」
泣きながら抱きつく私に
ジヨンは「うおぉ〜(汗)」と
手に持っているコーヒーを
落としそうになりながらも
しっかり抱きしめてくれた。
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作者名：natsu
| 作成日時：2012年4月14日 0時
