ピアス (ページ30)

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「Aちゃん、先輩が呼んでるよ」

用事があると先に帰ってしまい

久しぶりに廉のいない放課後に

焦って駆け寄ってくる友達の姿。

教室の扉を見れば

怒ったような顔をして私のことを睨む

3人の女の先輩の姿があった。

きっとこれは廉と仲良くしていることに対しての嫉妬。

高校に入ってからだけじゃなくて

中学の時にも確かこんなことがあった。

私は深呼吸を一つすると

待ち受ける先輩の元へ歩いて行った。

『あの…』

「ちょっと来て」

『…あ、はい』

掛けられた言葉の口調はひどく冷たくて

自然と恐怖を感じた。

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「あんたさ、男弄んで楽しいの？」

体育館裏に連行され

3人の先輩を前に立たせられる。

まるで、定番のドラマみたいだと思った。

先輩の尖ったナイフのような鋭い視線が刺さり

あまりの怖さに思わず怯んでしまう。

私は何も悪いことをしていないのに。

『…あの、ただ仲良くしてるだけです』

「じゃあ平野くんは？」

『…え、彼とは何も….』

「じゃあ体育祭の時、なんで体育館にいたのよ！」

その言葉を聞いたとき

私は呼び出された本当の理由を知った。

それは、私が廉だけじゃなくて

紫耀にも手を出していると思われているからだった。

『それは…別に大した意味はなくて』

「何の理由も無いくせに

2人と仲良くしてるのが不思議なのよ！」

そんなの、私が一番そう思ってる。

なんで私なんかがこんなことになったのか。

そう言いたいのは山々だったが

今はとりあえず謝るしかなかった。

「土下座してよ」

『…ど、土下座？』

「そんくらい当たり前でしょ！」

意味のわからない怒りは

ついに頂点まで達したようで

ついに土下座まで要求されてしまった。

意味もわからないし、屈辱だと思った。

しかし、この恐怖から解放されるには

先輩の言いなりになるしか無いのだ。

経験上、それがベストなやり方だ。

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