ピアス (ページ2)

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「おーい、席につけ。転入生を紹介する」

先生がその言葉を発した途端、

クラス中が一気に騒がしくなった。

「ねぇ転入生だってよ！」

『ね、どんな人かな？』

興味のあるフリをしてみたけど

今のクラスに全く不満を持っていない私は

正直、転入生なんてどうでもよかった。

「あ…、えーとじゃあ、入って」

少し困惑した表情で先生がそういうと

扉が少し強引に開けられた。

その姿が露わになった途端、

教室内はしーんと静まりかえった。

「平野紫耀、です」

ストレートな髪は、綺麗な金色で

片耳には十字架の形をしたピアス。

第二ボタンまで開けられたシャツには

ネクタイがだらしなく付けられていた。

それでも、顔は万人受けするようなイケメンで

制服越しでもわかる体のラインは

明らかに男らしかった。

「じゃあ平野くんは1番後ろの席ね」

紫耀「あ、はい」

先生が指した席は、なんと私の隣で

自分でも鼓動が速くなっていくのがわかった。

席についた彼を横目でチラッと見ると

不運にも重なってしまう視線。

『ひ、平野くん。私AAって言います。

わからないことあったら何でも聞いてね！』

恐る恐る小声でそう声をかけると

少し尖った視線が、再度私の瞳に向けられた。

紫耀「紫耀、でいいよ。よろしくA」

『あ、…え？』

予想外の言葉に困惑していると

呆れたように、少しだけ微笑んだ彼。

その仕草はとても大人びていて

私たちの知らない世界を

たくさん知っているような気がした。

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