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「ところで、A様」
「はいなんでしょう、何でも言って。近くのATMの場所は覚えてるから大丈夫!」
「先程偶然にも聞こえてきた黒曜との会話から察するに、またおかしな輩に付け込まれたようで」
「よっっし、前言撤回!!!前言撤回!!!!!その話はなしだ、今はともかくクルーズ便の夜景が綺麗なディナーに洒落込むとしようぜ!!!!君の瞳に乾杯!!!!!!解散!!!!!!」
日本語がなんかおかしいのは気にするな。
そのまま勢いよく席を立とうとした私に静かに差し出された柘榴のおすすめメニューの前菜にあっさりと吊られ、早希さんの隣に座り直すまでが一コマ。
人は食べないと生きていけないからね、食欲(ここ大事)に従って私が逃げ場を失ったこの事態も道理っちゃ道理だよね。どちらかと言うと推しに吊られたとかそんなことないから。
作ってくれた人に申し訳ないなって思っただけだから。いいね。
「はて、人には誰しも秘めた某が多かれ少なかれあるものとは心得ておりますが。A様にとっては触れられたくないと仰るのでしたら、無理にとは」
「いや〜、私は別にいいんだけど相手とか状況とかにも拠るよネ〜。最悪私ケイに埋められちゃうからサ!」
冗談じゃねえ。
そう、これはマジな話、冗談ではない。
実際、下手なこと言おうもんならケイ(またの名を風見早希ガチ勢同担拒否過激派)はやりかねない。
推しに対して良からぬフラグをたてるモブを潰したくなる気持ちは非常によ〜く分かるけど、私はまだ死にたくないんだよね!口を開いただけで消されるこの世界って一体なんなんだろう帰りたいんだけど。
「ねえ、兄貴、別に何も問題とかなかったよね」
「ああ、なんの事だかわからねえな」
「私はただ迷子になってただけだし」
「俺は迷ってるこいつを偶然見つけて案内してきただけだ」
まあ嘘である。
ここら一帯なんて私の庭どころか部屋と言っても過言ではない。よって迷子になんてなるわけない。
昔から地理を把握するのも地図を読むのも得意だし、こんだけこの店に通ってりゃ、そりゃ周辺の地形なんて理解出来るに決まってるよね!っていう。
即座に口裏合わせてくれる兄貴には心の中で合掌した。
「ふむ…。A様が迷子とは、それはまたおいそれとは信じ難く。しかし、日曜日という休日である本日ならば、斯様に陽気にあてられることもありましょうとも」
「ダヨネー」
「ええ、A様の"逃げ足が速い"のは何時ものこと」
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満月もなか(プロフ) - 初めまして、作品大変楽しく拝読致しました(*´ω`*) ヒロインの性格とノリが素敵で、キャストたちとの軽快な掛け合いがめちゃめちゃ面白かったです…!楽しい時間をありがとうございました(*´ω`*) (2021年1月10日 1時) (レス) id: f3ce0de81f (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年10月8日 19時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
楼莉(プロフ) - れど。さん» 初めまして!コメントありがとうございます。柘榴推しなのでつい書き始めちゃったんですけど、想像以上に口調難しくて頭抱えてます笑。柘榴の小説が増えることを願って!!今後も頑張って更新していきます!! (2020年3月26日 17時) (レス) id: bb9032df8a (このIDを非表示/違反報告)
れど。(プロフ) - 初めまして、読ませていただきました。ブラスタ夢はちょこちょこあるのに柘榴がいなかったので最高に俺得です(鼻血)柘榴の口調を再現できるのはマジ尊敬に値する!これからも更新楽しみにしています。ゆっくり気長に頑張って下さい!小並感な文失礼いたしました。 (2020年3月25日 20時) (レス) id: be06a2cb6f (このIDを非表示/違反報告)
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