物理。捌 ページ10
『さすがに、2日連続風呂なしは嫌です…!』
「お前に恥ってモンはねェのか!!」
この口論が昼から続いている。それを手を繋ぎながらしてるんだから周りから見れば変な状態だろう。まあここは不死川さんのお屋敷なので誰も見てはいないが。
こちらとしては何でもいいから体と髪を洗いたい。
多分お風呂も工夫すればなんとかなると思う。不死川さん器用だから失敗しないだろうし。
『ずっと男の人とくっついてるのに匂い気にしないわけないでしょうが!』
「………っ分かったわ絶対ヘマすんじゃねェぞ…!!」
『もちろんですよ!!』
ということで、お風呂論争は私の勝利であった。
しかし大変なのはここから。
まず服を脱ぐことから始まり、タオルを巻く。ちなみにしっかり目を瞑ってもらった。
『あ…お風呂気持ち良いです…』
「…そりゃよかったなァ…」
『不死川さん元気ないですね。大丈夫ですか?上がります?』
「……誰のせいだと思ってやがる…」
何だかご機嫌斜めである。ごり押ししてお風呂にいれてしまったからだろうか。
…上がったらしっかり謝ろう。ずっと一緒なのに仲良くやれなきゃ気まずいからね。
「…上がるか」
『はいー』
そう、ここからだったんだ。
私たちの、これまでで一番の災難は。
上がって水気を片手で拭き取る。
その時だった。
『あっ…!!』
「!?おい危ねえ!」
つるり、と足元に垂れている水で滑る。
体勢を崩した私は後ろ向きに床に向かっていく。
やばい。そう感じた。でも体感的にはゆっくり時が流れてるようで。
きゅっと、目を瞑った。これから来るであろう衝撃を覚悟して。
「…っおい、大丈夫か」
私が転ぶ前に体の向きを変えて、私に覆いかぶさるようにしている不死川さん。
空いている右手で私の後頭部を守ってくれるあたり流石だと思う。
でも、そんなこと言っていられなかった。
近い。頭を守ってもらったことによって、必然的に顔が近い。
手が繋がってるから身体も近い。
だけど、私たちを隔てるのはタオルだけで。
不死川さんが、近い。
羞恥心がどうしようもなく私を襲う。
水が滴る不死川さんが色っぽくて、直視できない。
でも、彼の瞳は私を見据えていて。
ドキドキして、心臓が苦しかった。
『…っ、あの、頭守ってくれて、ありがとうございます…起きましょう?』
「…ああ、すまねェ」
私たちは立ち上がって服を着る。
身体が、どうしようもなく熱かった。
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ナイトウルフ(プロフ) - 最後、、、!一気に読んじゃいました(笑)さねみんイケメン…この話が現実になればいいのにッッッ 素敵な作品をありがとうございます!! (2022年2月13日 1時) (レス) @page28 id: 1bd66c2c15 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 夢中になって読みました! 他の柱の物理も読みたいですーーー! (2020年12月3日 0時) (レス) id: 1c30a1e22f (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - 番外編のおばみつちゅき(( (2020年7月31日 14時) (レス) id: e0b0a3b941 (このIDを非表示/違反報告)
銀時 - 凄い面白かった!天元が爆笑してるの想像したらめっちゃ笑えてきた! (2020年4月24日 3時) (レス) id: 6c694a1b22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬田 - 幸せです (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空風まりも | 作成日時:2019年12月14日 20時