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「…はー、なんか、ちっせー事でもやもやしてたの、馬鹿らしかったなぁ。」
「ちっさい事?」
「…」

キルアは黙って口をとんがらせ、照れたように話し出す。

「たまに、さ、良いなーって思ってたんだよ。お前らだけの世界っていうの?信頼関係、みたいな。そういうの。」
「え〜?オレもたまに思ってたよ。二人だけしかわかんない話してるな〜、いいな〜って。」
「私もよくあるよ。特に今とか。」
「えっ」
「わっ」

急に現れた声に、二人は咄嗟に振り返った。

「A!急に出てくんなよ!」
「驚かそうと思って。」
「全然気づかなかった!…あ!わかった!絶だ!」
「正解。」

にやりと笑って少女もあぐらをかいて座り込んだ。

「二人ってばホントに置いて行っちゃうんだもん。片付けぐらいしろよな〜。」
「食器持ってったろ。」
「Aはお風呂もまだだったしね。」
「そういうとこだよ。まあいいけど。」

少女はぐいと伸びをして、そのまま倒れ込んだ。

「で、何の話してたの?羨ましい話?」
「そんな感じかな。キルアがね、」
「ゴン!言うなよ!」
「あはは、わかった。」
「なんだよ。」
「お前は馬鹿にするから教えない。」
「ほら〜、そうやって内緒事増やす。」
「内緒事だらけの奴に言われたくないね。」
「あーっそういや夜食持ってくるの忘れてた!」
「あ、話逸らした。」

一人増えただけで、こんなにもにぎやかになる。
互いが互いを羨ましくなる事はあれど、三人のこの空気は何物にも代えがたいのだ。

「…そういやさ、」
「ゴンのお袋さんって何してんの?」
「そういやそうだ。あんまり考えたこと無かったかも。」

二対の眼がゴンに向く。ゴンは少し黙った後、何でもない顔でぽつりと告げた。

「うーん、親父の事以上に聞きづらいんだよね。母親の事って。」
「ミトさんが親代わりになって育ててくれた訳だから、聞くのも悪い気がしちゃって。」
「そういうもんか。」
「…それは、なんとなくわかるかも。」

少女は風呂場での出来事がよぎり、今更なんだか恥ずかしくなってしまう。

「…お母さんみたいだよね。ミトさんって。」
「え?」
「いや、血の繋がりの無い私が言う事じゃないんだけどさ」
「ミトさんと話してると、母親と話す時ってこんなのかなって思うんだ。」
「お前それ、前にも言ってたぞ。」
「言ったっけ?」
「覚えてないのか?…あー、そういやそん時ウトウトしてたな。」
「…母親かぁ」

その時ゴンは、何処か納得したような顔で呟いた。

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アップルパイ - あのめちゃくちゃ大好きな作品です、オリ主の絶対とか本当に大好きで最高です!何回も繰り返し読みました!ヒソカとかの絡みとかが面白くて大好きです!更新楽しみに待ってます (11月23日 7時) (レス) @page35 id: 0177fc07a0 (このIDを非表示/違反報告)
アーモンドパイ - 話好み過ぎて無限に読めます😍ハンター試験〜闘技場の全部が最高だったので、かぴばらさんの描く夢主ちゃんのいるヨークシン編やキメラアント編メチャメチャ楽しみにしてます。素敵な作品に感謝😚 (2022年11月24日 1時) (レス) id: 413d74b396 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら2(プロフ) - そすさん» 貴方様のコメントに投げ銭したいです!💰師匠は本能的に何となくでゴックンしてたら嬉しいな〜フヒッと思って書きました😊吐き出した妄想全部理解してくださると照れるけどやっぱ嬉しいですね😚コメントありがとうございました! (2022年10月10日 22時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 番外編で夢主ちゃんのタイプが「自分より強くて常識外れで短髪でオシャレ(?) で完璧な肉体美の持ち主で歳上で束縛しなくて切れ長目で表情豊かで前世に固執しない人」で師匠が全部当て嵌まってるのがもう……一方その頃の毎度ぶっ飛んだ師匠の親心も好きです😇 (2022年10月8日 14時) (レス) @page35 id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら2(プロフ) - あんころさん» コメントありがとうございます🙇‍♀️私も夢主ちゃんが可愛くて仕方ありません🥰こうして夢主ちゃんが好きだと言ってくれるのホントに嬉しいです💗💗ゆっくりゆっくり書き溜めていってるので是非!楽しみにしててください! (2022年7月21日 20時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かぴばら | 作成日時:2021年8月30日 22時

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