私はモブになる

28 me at midnight 2 ページ31

衝動的な行動とはこう言うことを指すのか






私は気がついたらベッドルームを飛び出して廊下を走っていた






右腕にはリトルバーニーを抱えて








そして今
私の目の前には2人の腕がある


『…はぁ…っはぁ……』


息が乱れ酸素が足りていない



エ「A…？

Aも一緒に行く？」



始めは驚いたような表情だったエマはそう言った後私に微笑みかけた





『……エマ…私は行かない…
………リトルバーニーを、コニーに……』

そうエマに告げ、
小脇に抱いていたリトルバーニーをエマの方に向けた
未だ酸素が回っていない脳で次の言葉を必死に探したがなかなか出てこない

頑張って微笑みを浮かべてみるが
2人の顔を見ていればその頑張りが無駄だったと感じた

エ「(やっぱり私は余計な事を、しちゃったのかな…)でも…『違うよ』」



『コニーは寂しがりやだから…

きっとこの子が必要だと

そう思っただけ…』


一瞬エマの悲しそうな顔が見えてしまって
私は被せるようにそう言った


ノ「…大丈夫、
僕とエマでちゃんとコニーに届けるから
ママにも絶対バレないようにするし！
だから安心して？」





握っていたドアノブを一度離し、宥めるようにノーマンは私の頰を撫でた

『…っ！』

子ども特有の暖かい手に私はまた泣きそうになった


ノ「(…目が腫れてる…

それに手も…震えてる…)」







主要キャラに関わらなければ、
モブでさえいれば、
ある程度はシナリオ通りに進むだろうと
そう思っていた


でも違った




イレギュラーである私が“ここ”にいる時点で
既に物語は変わりはじめていた。
そんな当たり前のこと
気付かなかった？

違う


気付きたくなかったのだ。




口ではモブになるだなんて言っておきながら
私がここに居心地の良さを求めてしまった








その結果がこれだ。








これから先もシナリオが変わる可能性だってある

もしかして脱獄もうまく行かないかもしれない

エマやノーマン、レイも出荷されてしまうかもしれない



途端に全てが怖くなった


失いたくないと思ってしまった





ゆっくりノーマンが私の手を解こうとする
エマも私の手からリトルバーニーを受け取ろうと抱えたが、
私の手は言うことを聞いてはくれなかった





もし





“このまま物語が始まらなければ”








一瞬、そんな考えが私の思考を過ぎったからだ








エ「A、

必ずコニーに届けるから

約束するから」

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