ころころわんこ《N.Y》 (ページ32)

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石川選手に予備の練習着に着替えてもらい、

石川選手を加えた1年チームと先輩チームでの

2セットの試合を行った。

結果は、1年チームの勝利。

目の前で見て、感じた石川選手の

圧倒的な技術と力。

有志が｢中学からずっと憧れている｣と

目を輝かせて話すこと、

素人の私ですらわからざるを得ないくらい、

彼のバレーのセンスと才能は圧倒的だった。

『お疲れ様でした、タオルとドリンクです！』

カゴに、タオルとドリンクを詰め込んで

石川選手と部員それぞれに手渡していく。

試合に参加した部員はもちろん、

石川選手も、薄らと汗をかいている。

西田｢A、俺にもちょーだい。｣

近くにいた人から手渡していたため、

有志にはまだ、タオルなどを渡していなかった。

それに痺れを切らしたのか

目の前にきて、声をかけてきた有志。

誰がどこからどうみても、

いつもより幾らか嬉しそうな顔だった。

『あっ、有志ごめんね。はい、どうぞ』

｢さんきゅ。……あー、やっぱすげーなぁ。｣

先程の試合を思い返すようにそう言った有志は

何か遠くを見据えているようにも見えて。

『…うん、流石日本代表って思うね。』

｢やっぱそうやんなぁ……俺も頑張らんと……｣

私がそう返せば有志はしゅんとしてしまった。

『有志、もちろん私も石川選手を見てたけどね、
それ以上に”石川選手とプレーしてる”有志も
ちゃんと見てたよ。……かっこよかった。』

私がそう言うと有志は、

ちょっと元気を取り戻したようだった。