無一郎の大切な幼馴染み

〃 ページ20

無一郎 目線





Aが落とした椿の髪飾りを見つけると嬉しそうに微笑んだ



“僕に貰ったから”と彼女は言う


それがどれだけ嬉しいことか、君はわからないだろう



ふと彼女の手を見ると、血が滲んでいるのが見えた





貴女『大丈夫だよ、これくらい。髪飾り見つかったんだから！』





彼女はそう言って、再び椿の髪飾りをつけた


前に大事なら部屋に置いておけば良いと、彼女に言ったことがあった気がする

そしたら、彼女は……







《貴女『これを付けてるとむいくんが傍にいるって安するの。だから、どんなことにも頑張れるんだ！』》







そう言って、満面の笑みで笑った





無一郎「帰ったら止血するからね」



貴女『そんなに酷くないよ』



無一郎「今くらいは言うこと聞いて」



貴女『う、うん』





彼女は自分のことは何時も二の次


彼女は稀血だ

鬼に狙われやすい



彼女は強いことは知っている

でも、とても心配なんだ

Aだけは失いたくない


だから、どんなことにも直ぐに駆けつけたい





貴女『そう言えば、むいくんは髪飾りどうしてるの？』



無一郎「此処」





僕は懐から白の椿の髪飾りを出すと、彼女は安心した様子を見せた





貴女『良かった、ちゃんと持ってた』



無一郎「持ってるに決まってるでしょ」





大切にしていないと思っていたのだろうか


そんなことはない

肌身離さず持っているし、毎日のように持ち歩いている



ただ、彼女とお揃いというだけで嬉しくなってしまうのだ

だから大事にしすぎて使う機会がなくなってしまう


それだけの話だ



そう考えると僕とAは少し似ていると思った





貴女『ありがとう』





彼女が再び微笑む


やっぱり、僕は彼女の笑顔が好きだ

この笑顔は、絶対失わせない


僕が絶対守ってみせる





貴女『帰ろう、むいくん！』



無一郎「うん」





白い椿の髪飾りを懐に戻し、彼女と下山した





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椿全体の花言葉
「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」

赤い花の椿の花言葉
「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」

白い花の椿の花言葉
「完全なる美しさ」「至上の愛らしさ」

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