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半分くらい食べたあとだったか。突然後ろから右耳に囁かれるように声をかけられた。
「調子はどうっすか」
私は予期せぬ声にビビって肩を震わせる。そうすれば驚かせた犯人のショッピはちょっと面白そうに笑った。イケメンだからって何でも許されるわけじゃないんだぞ!
「特に異常はないよ」
「それならよかった」
安心したようにソイツはまた私に微笑む。なぜそんな優しく笑うのかは私には理解できなかった。
「練習台に対してもちゃんと心配するんだね」
少し嫌味っぽく笑い返す。そうすればアイツは少しだけ驚いたように目を開くが、その後は不気味に口角を上げ、なんとも嬉しそうに私を見つめた。それはまるで、計画したことが予想通りに動いて愉悦そうな笑い方だった。
「酷いじゃないっすか、そんな言い方して。傷つきますよ」
全く傷ついたフリなど見せないショッピに少し恐怖を抱く。何か、何か選択を私は失敗したように思えた。
「ね、右耳のピアスの意味って知ってます?」
「し……知らないけど……?」
そう言うと次に奴は子供を見つめるかのような微笑みへと変わり、私の右耳に触れた。
「俺以外に開けられちゃ駄目ですよ」
「づあ!?」
ギッ、強くその耳を潰される。痛みに私は悲鳴を上げた。
「あと、そのピアス以外も駄目っす。もし他に付けたいなら俺を呼んでください。あげるんで」
今度は右耳を労るかのように優しく親指で撫でられる。
意味が分からないショッピの行動に私は無意識に恐怖で顔を歪めていた。だけどショッピは気にする様子もなく、いやむしろ嬉しそうに私を見つめるだけだった。
「じゃ、俺用事あるんで」
そう言ってそこから離れていくショッピの背中を私はただ呆然と眺める。
食堂には人が少なかった為、今の謎の光景は他の奴には見られていなかったようだ。正直助かった。
「何だったんだ……」
痛む右耳を擦る。普通に怖かった。何がしたいんだ奴は。とりあえず飯を食べ終えるためにご飯を食べるのを再開する。
……そのあと、ショッピから「お古のもありますけど」と大量のピアスが渡された。それらすべてが紫系統だったことは私たち以外が知らなくてもいいことだし、はじめに貰ったピアスがまさかの本物のアメジストでそこそこの値段がしていたなんてことをまだ私は知らない。
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夜有(プロフ) - 百瀬のえるさん» ありがとう御座います!いつかまた会えるときが来ましたら、そのときはよろしくお願いします。 (2021年1月1日 23時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬のえる(プロフ) - 更新ありがとうございました!大好きです!!お疲れ様でした! (2021年1月1日 23時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - はい!それではお願いします! (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 黒音さん» あ、いえ!その可能性も考えてたのにそこも確認してなかった私もすみませんでした。リクエスト承りました! (2019年10月15日 16時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - 返信ありがとうございます!個人的にはハッピーエンドがいいですが作者さんの書きやすい方で良いですよ(それと夢主が死んだ後の事なのですが前世の時の事です。分かりづらくてすみませんでした) (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜有 | 作成日時:2019年4月7日 22時