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白花の絨毯に腰を下ろして、花をひとつずつ摘んでいき、智の指がその茎を丁寧に編んでいく。少しずつ形作られていくその様子を見ているだけで隣に座る翔は幸せな気持ちになれた。
「やっぱ智くんは器用だね」
「そう？」
「おれなんかより全然器用だよ。」
うんうん、と頷く翔にちまちまと指を動かしながら智は言う。
「でも翔はできないことがあったらとっても努力するじゃん。そういう努力家のところ俺はすごいなぁって思う。」
よし出来た、そう呟いて智は手に持っていたものを持ち上げる。白花の花かんむり。ふわふわとしたその花かんむりを智は翔の頭にそっと置いた。
「うん、似合ってる。」
「えー、おれ女の子じゃないよ？」
少し視線を外して、照れたように翔は言う。
「ふふ、いーの。」
智は翔の髪から頬を大きな手で滑るように撫でてやり、前髪を左右に分けた。
不思議そうな顔をする翔を見て、少し恥ずかしそうに智は笑いながら額に優しく暖かな口付けを落とす。
そのとき翔はまた顔全体に熱が集まっていくのを感じた。
「翔くん、顔まっかっか。」
悪戯が成功した子供のように智は言う。
あなたがそんなことするからだと頭でぼんやり考えたけどもう反論する余裕なんてない。
「翔くん、ありがとうね。」
穏やかな表情で智は言う。
「俺ね、父さんと母さんがいなくなったから翔は俺が守んなきゃって思ってた。でも、今気づいた。」
智は翔の手を取って自分の両手でまた包み込む。
「俺たちはひとりぼっちじゃ戦えないんだよ」
だから、いつまでも俺のそばにいて。
翔は目を見開いた。
どくどくと感情があふれ出るのがわかった。いつまでも、あなたのその素晴らしい才能にいつまでも触れていたいとそう思っていたから。また涙が伝った。
「翔くんったら泣き虫だなぁ」
智はそう言いながら翔の涙を親指で拭う。ぽろぽろと溢れて止まらない涙は白花を濡らしていく。答え聞かせてよ、智は言った。
そんなの、ずっと前から決まっている。
小さな頃から、ずっと、ずっと。
翔はその涙を止めることなく笑った。
「おれはいつまでもあなたのそばにいたい。」
おれたちはふたりでひとつだもん。
智は先ほど翔がやったようにそれぞれ両手の指と指を絡めて繋ぎ、お互いの額を合わせた。また涙が零れ落ちる。
こうすればふたりの想いが伝わる気がした。
止まらぬ涙をそのままに翔と智はいつまでもこうしていた。
そう、いつまでも。
あの青空はどこまでも青いと信じて。
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大翔(プロフ) - kkさん» 主催の者ではなく、練習曲29番を書かせて頂いただけの私ですが、主催の方がまだ作者さんを続けていらっしゃるのか分からないので、かわりにコメント失礼します。コメントしていただいて本当にありがとうございます！ (2020年1月24日 23時) (
レス) id: 7ff2e3a340 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 素晴らしい作品！全部すごく良かったです。s受け尊し。 (2020年1月24日 23時) (レス) id: c2bfb0fe32 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - Sさん» 突然失礼します、向日葵です。こちらはあまり更新しないのですが、青い鳥にて騒いでることが多いのでよろしければ…(@air__ap) (2018年2月1日 16時) (レス) id: 76ade9e498 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 返信ありがとうございます！！ 早速検索かけます！ (2018年1月28日 3時) (レス) id: 539aafff22 (このIDを非表示/違反報告)
あま音(プロフ) - Sさん» 恋色は青い鳥(@Kw_C2a)もやっておりますよ(*^^*) (2018年1月27日 9時) (レス) id: 95b1de6e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：｢赤い櫻は冬に咲く｣製作委員会
x他6人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月21日 9時
