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「……仲がいいスタッフが翔さんの今のドラマ現場にいてね。その人からさっき聞いた話なんだけど。
そのドラマで共演してる大御所さん……分かる?」
「うん」
その人が以前から
調子に乗ってるからだとか、いいとこの坊ちゃんだからとかいう曖昧な理由で
翔くんを毛嫌いしていることはなんとなく知っていた。
「その人が……翔さんのこといじめてるって」
「……は?」
「陰湿で汚いやり口で…大御所さんだから誰も逆らえなくて、現場全体の雰囲気が険悪なんだって。
翔さんも初めは気にしてなかったみたいだけど……
段々辛くなって現場でもずーっと一人で塞ぎ込んでるって」
言葉が、出なかった。
怒りで目眩がした。
「ドラマの役柄もかなり重いものだから、翔さん相当精神的に負担かかってるんだよ……
周囲に自分の性癖をバカにされて、掴みかかるシーンがあるんだって。
相葉くんに掴みかかったのも……たぶん、追い込まれて判断ができなくなってたんだと思う」
この瞬間にナイフを手に持っていたなら
俺はたぶん、躊躇いもなくそいつに突き刺していただろうと思う。
「……ケアしてあげてね。翔さんが頼れるの、リーダーぐらいだからさ」
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「一人で背負い込みすぎなんだよ…しょーくんは」
キャパなんてとっくにオーバーしてるくせに、強がって「平気平気」つってさ。
白くてすべすべした頬をそっとなぞった。
熱で赤く火照ったその肌は俺よりもずっとずっと温かいのに
翔くんの心はどんどん冷たくなっているような気がした。
「…………ん……」
「翔くん…!」
長い睫毛がぐぐっと歪んで
薄暗闇の中で、光のない真っ黒な目が俺を捉える。
「翔くん、翔くん。……わかる?」
「……さとし、くん……」
「ん。……翔くんどうなったか覚えてる?」
俺がそう尋ねると、翔くんはぼんやりと目を細めて
やがて思い出した全てに、また怯えるように震えだした。
「落ち着いて、翔くん。……あのね、俺聞いたの。翔くんのドラマの現場でのこと」
必死に呼び戻したくて、伸ばした手を
「嫌ッ……!」
翔くんは、払いのけた。
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大翔(プロフ) - kkさん» 主催の者ではなく、練習曲29番を書かせて頂いただけの私ですが、主催の方がまだ作者さんを続けていらっしゃるのか分からないので、かわりにコメント失礼します。コメントしていただいて本当にありがとうございます! (2020年1月24日 23時) (レス) id: 7ff2e3a340 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 素晴らしい作品!全部すごく良かったです。s受け尊し。 (2020年1月24日 23時) (レス) id: c2bfb0fe32 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - Sさん» 突然失礼します、向日葵です。こちらはあまり更新しないのですが、青い鳥にて騒いでることが多いのでよろしければ…(@air__ap) (2018年2月1日 16時) (レス) id: 76ade9e498 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 返信ありがとうございます!! 早速検索かけます! (2018年1月28日 3時) (レス) id: 539aafff22 (このIDを非表示/違反報告)
あま音(プロフ) - Sさん» 恋色は青い鳥(@Kw_C2a)もやっておりますよ(*^^*) (2018年1月27日 9時) (レス) id: 95b1de6e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「赤い櫻は冬に咲く」製作委員会 x他6人 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月21日 9時