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待ち1 ページ42
「…もういっかな」
小雨の中、傘を差して2時間。集合場所に彼は来ない。ぽたぽたと、雨とともに涙が地面に落ちる。
「いつまで待てばいいの…」
きっと今の顔は酷い。誰にも見せたくないのに、この場を動けないのは、まだ期待してるからだ。そうして、雨の中突っ立って泣いている私に、誰かがそっとハンカチを差し出してくれる。驚いてぱっと顔を上げると、優しそうな長身の男性が立っていた。
「これ、使ってください」
見知らぬ人でも、こういうときの優しさは心に沁みる。ありがたくそのハンカチを受け取り、そっと涙を拭く。
「ありがとうございます。あの、洗ってお返ししたいんですけど…」
「あぁこれくらいええですよ」
「でも…」
「んー、そんならそこのカフェ、一緒に入りません?」
彼が指差した先の小洒落た建物を見て、それでいいならと私は頷いた。
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作者名:みぃこ | 作成日時:2023年2月16日 15時