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「鍵開けてくれへん？」
「あぁ！ごめん！」
電話越しに微かな笑い声が聞こえる中、急いで玄関に向かい、鍵を開ける。
「ありがと笑」
「ううん！ごめんね、怖いから一応鍵かけといたんだ。ちょうどご飯できたし、今食べる？」
一緒にリビングへと向かいながら、彼に問いかける。
「めっちゃええ匂いする笑
はよ食べたい」
「わかった！すぐ用意する！」
キッチンへと入り、棚から適当に取り出した大きめのお皿に盛り付ける。
「はい、どうぞ」
「おっ麻婆豆腐やん！めっちゃうまそう！」
顔をぱぁっと明るくし、子供のように喜ぶ濱家くんに、私も少し心が明るくなる。
「あはは、口に合うかわかんないけど、よかったら食べて。多めに作ってるから、作り置きみたいに残りは冷蔵庫に入れておいてくれたらいいかも」
着替えもありがとね、なんて言いながら荷物をまとめていると、
「え、食べへんの？」
と寂しそうな顔をする濱家くん。
「うん。さすがに、これ以上いるのは申し訳ないし、帰るよ」
「いやええよ、一緒に食べようや」
くいっと、後ろから服の裾を引っ張る濱家くんにドキッとする。けれど、
「ううん、洗い物増えるし私はいいよ。あぁそうだ！使ったやつ洗ってから帰るね〜」
掴んできた彼の手をそっと払って、私は再びキッチンへと向かった。
─────────────────
「本当にありがとうございました。」
玄関でペコリと頭を下げる。
「…」
さっきから、不服そうな顔をしている濱家くんだけど、これ以上今日は一緒にいたくないし、いてはいけないような気がするから。
「じゃあまた、」
ガチャリと扉をあけて出ていこうとすると、
「なぁA！次は、次はいつ会える…？」
と焦ったような声に呼び止められる。でも、振り向いちゃいけない、なんだかそんな気がして、
「うーん、わかんない！」
曖昧な言葉で誤魔化して、彼の顔を見ないまま私は扉を閉めた。
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作者名：みぃこ | 作成日時：2023年2月16日 15時
