Hmieさん短編集 (ページ17)

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嫉妬ページ17

「川西さんってかわいいよね」

いきなり彼女がそんなことを言い出した。動画を見ながら、先程からニヤニヤしていたのはそういことかと合点がいくと、なんだかもやもやする。

「あーそういう子多いよなぁ」

「やっぱり？優しそうな顔してるし、漫才のときの女の子役おもろしくてめっちゃ好き！」

そうして、楽しそうに賢ちゃんのことを話すAに、さらにもやもやが増す。

「んー、確かにおもろいとは思うけど…俺らは？」

他の人を面白いと言われるのは、芸人として一番心にくる。だから、つい張り合って、そんなことを聞いてしまう。でも、彼女はそんなこと気に留めていないようで、

「えー、もちろんはまくんは面白いよ？でも、川西さんたちには、また違った面白さがあるっていうか！」

と言って、さらに喋りだすAの口を、片手でひょいっと塞ぐ。

「んぅ、」

びっくりして口をつぐんだ彼女に、

「今日はせっかく一緒におるんやから…その、俺のことも褒めてくれへん…？賢ちゃんもええけど、ってよくないけど！！俺のことも、な？」

こうやってお願いすれば、Aが弱いことは知ってる。俺はただ、彼女に俺のことを俺の目の前で話してほしい。照れながら話す、その顔を見て満足したい。
ゆっくりと彼女の口から手を離すと、

「じゃ、じゃあ！はまくんの可愛くてかっこいいところも話すよ！！いい？私、話しだしたら止まらないからねっ！」

そこから、すらすらと俺のことを恥ずかしそうに、でも本当に、先程よりも楽しそうに話すA。そんな姿を見て満足した俺は、そっと彼女の頭を撫で、

「俺はAのそういうとこ好きやわ」

とわざと耳元で囁く。

「っ～～～～～～！！！！！もうっ！そういうとこ！！ずるいよ！すき！！」

なんて顔を真っ赤にして、彼女が可愛く怒るその横で、俺も思わず笑っていた。