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電車の窓から次々と変わっていく景色は
だんだんと懐かしい景色に変わっていく
田舎景色
右手には大きなキャリーバッグ
左手には小さな娘の手
流石田舎で車両には私たちと
寝ているおじさんしかいなかった
「ママ?あとどのぐらい?」
愛しい娘の声が聞こえる
「30分かな 我慢してね」
「えーーー」
と口角を下げて窓を眺めていた
「じゃあ今日我慢したらぬいぐるみ買ってあげる」
すると分かりやすく
「ほんと?ピンクのぬいぐるみが欲しい」
と顔をルンルンとさせた
それから小さな声でずっと
ピンクのぬいぐるみ…ピンクのぬいぐるみと
宗教のようにぶつぶつと唱えているのを見ると
我慢できなく笑ってしまった
「美雨はピンクが好きなんだね」
「うん ,ピンク大好き」
この笑顔さえ守れたらもうなんでもいい
元夫は1つ上で大学で出会った
でき婚で娘ももう3歳になろうとしていた
23歳になった日
夫は家に違う女を連れていた
喧嘩になり今はアイツが好きと聞くとすぐ
別れることを考えた
そして今
やっと手続きが終わり東京の家を出て
叔母の家に帰ろうとしている
自分の両親は自分が小さい時に死んだ
そしてそれから叔母の彩乃さんに育てて持っていた
それから
私はこの美雨の笑顔だけを守るって誓った
「ママは何色が好き?」
「ママは…青かな」
「青?」
「うん。青。海の色」
そうなんだと自分の小さなリュックを持ち
着いた駅に降りる
流石に2時間電車は疲れたなと背伸びをしていると
「ママ!海だよ」
そう言いながら後ろを振り返ると
広い海があった
「ママの好きな青だね」
ああこの子はまだ知らないんだ
私は色が見えないって
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作者名:ライオン | 作成日時:2019年10月6日 20時