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「ッ!」
「…ごめん、意地悪なこと言った。
本当は鬼殺隊の任務なんてやってちゃダメなんだと思うよ、だって仮にも奇病にかかってるわけなんだから。
でもね、出来る限り私らしくいたいの。私はらしく生きて、私らしく死んでいけたら…それで、いいかなって、そう思うの。」
「A、」
「ごめん、善逸にはなんか…迷惑な話だったよね」
「なんでそんなこと言うんだよ、俺たち仲間じゃん、迷惑なわけないだろ」
それに、と善逸は私を潤んだ瞳で見た。
悲しくて、やさしい眼差しに私まで泣きそうになる。
「今、1番辛いのはAだろ、迷惑とかそんなこと考えるなよ、」
「はは、泣きそうになってる」
「泣かねぇよ、Aが泣かないのに俺が泣いていいわけないだろ」
ほんと、良い奴だよ善逸は。
そう言えば善逸は照れたように頬をかいた。
「そ、それよりさ…Aはこのこと、2人に言わなくて良いの?」
「なるべく人には知られたくないの。皆には笑っていて欲しいんだ」
「…炭治郎にも、言わないの?」
「?そうだよ、なんでそこで炭治郎が出てくるの?」
「なんでって、そりゃ……いや、なんでもない」
なんだか歯切れが悪いな、と思い、声をかけようとした時。
「おいA!!いつまで厠行ってやがる!!さてはデケェの出したな?!」
伊之助が部屋の方から私を呼んだ。
デケェのは出てないよ、汚いなぁ。
「仮にも女の子にかけていい言葉じゃないよ、伊之助…はぁ、善逸、行こう」
「…いや、俺手を洗いに来たんだ。先、帰っててよ」
「そう?じゃあ先戻ってるからね、あ、…くれぐれにも、内密にね」
「分かってるって」
先程よりも少しだけ明るい顔でAは笑って、そのまま部屋の中へと入っていった。
その背中を、俺は後ろから見つめる。
「なんで、」
なんでAなのかなぁ。
Aは優しくて、俺みたいなのにでも笑いかけてくれる。
善行の塊みたいな奴。
なのに。
なんでそんなどうしようもない病を、Aに押し付けたかな。
「怨むよ、神様」
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みょん(プロフ) - 複雑な気持ちになりました。貴重な体験、楽しい時間をありがとうございました。! 長文失礼しましたm(_ _;)m (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - なりました。夢主の気持ちもめっちゃ分かるし炭治郎の気持ちもわかります。五感がなくなっていくという感覚などは、分からないけれど、本当に夢主になったような気持ちで読めることができました。作者様は本当に凄いですね。この作品を読んで言葉で表せないくらい (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - めっちゃ感動しました(泣)大号泣です!感無量です。神作品を作ってくださってありがとうございます。特に最後の子守唄を歌うシーン。段々と炭治郎の声が聴こえてこなくなって、もっと大きな声で歌ってとお願いするシーンがなんというか、とても切ない気持ちに (2023年3月19日 21時) (レス) @page36 id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
ワンコ - 感動(>人<;) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 1e9b1e52b8 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 柱の物語みたいです (2021年1月19日 22時) (レス) id: 751c2cfce8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年11月23日 10時