検索窓
今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:302,806 hit

ページ30

珍しく善逸が声を荒らげて、俺に掴みかかるような剣幕で捲し立てた。









そうだ、何やってるんだ俺は。









急いで鬼を倒して、早くAの所に…









「もう、Aに時間は…ないんだぞ…!」









「すまない、俺はどうかしていた。鬼を斬って、急いで蝶屋敷へ行こう!」









そこからは早かった。









いつにも増して集中していた炭治郎と善逸の活躍により、目的の鬼は倒された。









炭治郎及び3人は、急いで蝶屋敷へと向かう。









そして、Aの部屋の前に着いた時。









座り込むようにして泣くなほ、すみ、きよの姿に炭治郎達は最悪の結果を予期した。









まさか、もう…?









と、部屋の中から胡蝶しのぶが暗い顔で出てきた。









炭治郎は、掴みかからん勢いで胡蝶にAの容態を尋ねる。









「…今夜が、最後になるかもしれません」









「え…?う、嘘です、だってAはまだ2つ残っているはずです!聴覚と、嗅覚の2つが残っていますよね?!だったら!!」









「病の進行が早いんです…!一晩で2つとも失ってしまう可能性も十分にあります、ですから!!


…お別れを…伝えておいた方が、いいかもしれません…」









そう言う胡蝶の瞳には涙が浮かんでいて。









本当にAの死期が目の前なのだと、嫌に理解してしまった。









「善逸、中に入ろう」









「……いや、お前だけ入れ」









「?!なんでだ、Aが最後かもしれないと、今しのぶさんが…」





「あのさぁ!!」









善逸が俺の言葉を遮るようにして叫ぶ。









その顔は影っていて、どんな表情をしているのかは見えない。









「あのさ、炭治郎。俺、Aのこと好きだよ」









「?…あぁ、俺も────」









「違う。

Aのこと、愛してるって意味で好きなんだよ。
友達だからじゃない、好きなんだ」









「え、」









その時、炭治郎の胸の奥に何やら表現し難い感情が渦巻くのを感じた。









どす黒く、重くて、まるで曇天のような何かが、叫び出したいほどに芽生える。









なんで、俺はこんな気持ちになるんだろう?









「そんな音させといて、まだ気づかないんだな、炭治郎は。
鈍いにも程があると思うよ」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (471 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
511人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 死ネタ , 炭治郎   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みょん(プロフ) - 複雑な気持ちになりました。貴重な体験、楽しい時間をありがとうございました。! 長文失礼しましたm(_ _;)m (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - なりました。夢主の気持ちもめっちゃ分かるし炭治郎の気持ちもわかります。五感がなくなっていくという感覚などは、分からないけれど、本当に夢主になったような気持ちで読めることができました。作者様は本当に凄いですね。この作品を読んで言葉で表せないくらい (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - めっちゃ感動しました(泣)大号泣です!感無量です。神作品を作ってくださってありがとうございます。特に最後の子守唄を歌うシーン。段々と炭治郎の声が聴こえてこなくなって、もっと大きな声で歌ってとお願いするシーンがなんというか、とても切ない気持ちに (2023年3月19日 21時) (レス) @page36 id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
ワンコ - 感動(>人<;) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 1e9b1e52b8 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 柱の物語みたいです (2021年1月19日 22時) (レス) id: 751c2cfce8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハナ | 作成日時:2019年11月23日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。