･ ページ29
Aの予想通り、Aはその後3日程で視力を完全に失った。
鬼はもう、斬れない。
いや、そんなもんじゃない、1人では何も出来なくなってしまった。
厠も、
ご飯も、
着替えも、
全部全部一人では出来なくなってしまった。
それに加えて身体も日に日に悪くなるばかりで、最近はすっかり寝込んでしまっている。
起きていると体力を使うのか、日中でも寝ていることも多くなってしまって。
あまりに静かに寝ているから、何度も生きているのか不安になり、口元に耳を寄せて息をしていることに安堵するような日々が続いた。
でもまだ、生きている。
まだ、生きているんだ、必死に。
大丈夫、まだ…
今日も、任務が終わればいつものように、その柔らかな朝日のような笑顔で迎えてくれるから。
･
･
でも、
･
いつだって、
･
･
当たり前が崩れるのは突然だ。
「カァァ！！竈門炭治郎！！任務ガ終ワリ次第、蝶屋敷へ急ゲ！！蝶屋敷へ急ゲ！！」
鬼をと対峙している最中、突然鴉がそんな風には鳴き始めた。
蝶屋敷へ、急ぐ？
変な胸騒ぎが身体の皮膚を粟立たせる。
痛いくらいに心臓が早鐘を打って、とても冷静ではいられない。
目の前の鬼を切らなければならない、集中しなければいけないのに、なんだか息が上がって全集中の呼吸も上手くできない。
どうしよう、どうしよう！
Aに何かあったのか？
まさか、死んでしまったのか？
「権八郎！！危ねぇぞ！！！」
伊之助の叫び声にハッとなって前を向くと、もう目と鼻の先に鬼の拳が。
これは、間に合わない。
目をギュッと瞑り、辛うじて受け身の体制をとろうとしたが、いつまで経っても攻撃は来ない。
恐る恐る瞳を開くと、コロリと地面に落ちた鬼の首と、善逸の姿があった。
「ぜ、善逸、ありが────」
「ぼうっとしてんじゃねぇよ！！
気が抜けたような顔するな、早く鬼を斬ってAの所に急がなきゃ行けないだろ！！！
集中しろよ、馬鹿！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 511人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みょん(プロフ) - 複雑な気持ちになりました。貴重な体験、楽しい時間をありがとうございました。！ 長文失礼しましたm(_ _;)m (2023年3月19日 21時) (
レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - なりました。夢主の気持ちもめっちゃ分かるし炭治郎の気持ちもわかります。五感がなくなっていくという感覚などは、分からないけれど、本当に夢主になったような気持ちで読めることができました。作者様は本当に凄いですね。この作品を読んで言葉で表せないくらい (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - めっちゃ感動しました(泣)大号泣です！感無量です。神作品を作ってくださってありがとうございます。特に最後の子守唄を歌うシーン。段々と炭治郎の声が聴こえてこなくなって、もっと大きな声で歌ってとお願いするシーンがなんというか、とても切ない気持ちに (2023年3月19日 21時) (レス) @page36 id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
ワンコ - 感動(＞人＜;) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 1e9b1e52b8 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 柱の物語みたいです (2021年1月19日 22時) (レス) id: 751c2cfce8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハナ | 作成日時：2019年11月23日 10時
