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「…帰るぞォ」
不死川が時透の肩を掴む。
「嫌だ、絶対連れて帰る───────」
「甘ったれたことを言ってんじゃねェ!!」
不死川の大声に、時透は怯んだ。
「テメェは柱だ。水瀬も!
お前はよく水瀬に懐いていたから、この状況は、手紙は、耐え難いことかもしれねェ!!
だが、お前のその行動を水瀬が見たら、どう思うか!!
お前なら優に想像できるだろォ!!」
時透は、呆けた顔で不死川を見ていた。
その霞がかった瞳をこれでもかと開いて、
そして、ついには顔をクシャりと歪ませて、
大粒の涙をその瞳から零し始めた。
「A、さん…」
Aの頬を、そっと撫でる。
もう、いないんだね
もう冷えきって氷のようになってしまった体に、もうこの世に彼女はいないのだと嫌でも思い知らされた。
そして、時透も。
ふら、と力なく立ち上がる。
その瞳には、悲しみと強さを湛えて。
「ありがとう、Aちゃん」
「もっと歳をとったら、そちらに行きますからね」
「君の分まで、俺が刀を振るおう!!」
「向こうでも元気でな」
「馬鹿ばかりするんじゃないぞ」
「いい子で待ってなァ」
「どうか安らかに…南無阿弥陀仏…」
「…お前は、もう1人じゃない」
「Aさん、もう少しだけ待ってて」
あなたを忘れることは難しい。
きっと、その足音を、
笑い声を、
顔を、
優しいあなたの瞳を忘れても、
あなたを忘れることは、出来ないかもしれない。
それでも、あなたが私たちが前を向くことを望むのなら。
それがあなたの、最後の願いならば。
前を向こう。
いつかのあなたの優しさをこの胸に抱いて。
『また、いつか!』
ほら、
あなたの笑い声が、聞こえた。
【最後の花を、あなたに。】
───────
姫彼岸花の花言葉
幸せな思い出
また逢う日を楽しみに
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時