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「ちが、うんです…私、皆の、笑った顔…大好きで、」
私のせいで悲しい顔になる皆を見たくないんです、ずっと笑ってて欲しいから、と言うと、誰からともなく私に抱きついてくれた。
団子のように固まり、「苦しいですよ、」と言うと団子は解けて、代わりに下手くそな皆の笑顔が現れた。
あんまり下手くそだから、つい笑ってしまう。
「お前が笑顔が好きだというから、みな笑ってやっているんだぞ。なぜ笑うのだ」
「いいえ、皆さんあんまりにも、下手っぴで、つい、笑って…」
突然喉に痛みが走り、慌てて口に手を当てて思い切り咳き込むと、赤がそこに咲いた。
「水瀬、お前血を…!!」
指の隙間から血はぽたぽたと落ちて、私の羽織を染める。
忘れてた。
私、死ぬんだ。
「みなさん、」
「喋るな、もしかしたらまだ何か、」
「聞いて、ほし…」
「胡蝶、何か無いのか!!水瀬に効くような薬を早く!!」
「花咲病は、非常に奇異で最近出始めた病なんです…!!私だって、薬があるのなら今すぐにでも!!」
「聞いて、ください!!!」
大きな声を出したせいで、思い切り血を吐いてしまった。
それを聞いて、ハッとしたように皆は静かになってくれる。
「どう足掻いても、私は今日、死ぬんです。
どう、頑張ったって、
どんなに、徳を積んだって、
それが、私…の運命だから、」
「水瀬、」
「だから、どうか、最後の言葉くらい、聞いていただけませんか、?」
最後の言葉、と言うと、空気が一気に張り詰めた。
ぽそりと誰かが「やめてくれ、」と呟いて、そちらを向くけど、瞳が重くてもうどこに誰がいるのか見ることも出来そうにない。
「大抵は、遺書に…書き留めてあるので、それを見ていただいて…本当は…最後に、こんな…皆に会えることを、想定してなかった、ので」
私を支えてくれる、誰かの手が震えてる。
腕の中で人が死ぬのなんか、そりゃ怖いよね。
「わたしは、ずっと、鬼殺隊になるため、に、育てられて、きました」
産まれてから鬼殺隊になるため、鬼殺隊に入れば柱になるため、日々奔走してきた。
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時