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Aが羽織を翻し、外に走り出た時…パチリと瞳を開いた者がいた。








今まで寝ていたとは思えない、ハッキリとした瞳。









どうやら、随分と前から起きていたようだ。







「…よもや、」









瞳を開いた者…煉獄杏寿郎は、Aの先程の不可解な言動に、何か大きな不安感を抱いた。








なんだ、さっきの言葉は。




まるで別れの挨拶を一方的にされたようではないか。






まるで?本当に、そうだろうか。



まさか、








「本当に、死ぬのではないだろうな」









その考えが頭に浮かんだ瞬間、全ての歯車がカチリと音を立ててはまった。









そう考えれば今までのAの行動の意味が全て当てはまるのだ。









突然屋敷を訪ねてきた意味も、






この一週間なぜ柱の元を「偶然」を装って回っていたのかも、






珍しいAの着物姿や異様に片付いた部屋も、









なぜ…ずっと悲しそうにしていたのかも。









全て、合点がいく。



だとすれば、問題は…









「いつ、死ぬつもりだ」









いや、考えればすぐわかる事だった。







今の挨拶はまさにそれだろうが。







追わねば、今すぐに追って訳を問いたださねば。








一気に酔いが覚め、隊服と羽織を着直すと他の者を叩き起す。








「起きろ!!!一大事やもしれん!!寝ている場合では無いぞ!!」









眠たげに起き出した柱に訳を説明すると、皆も酔いが覚めたようだ。









目を見開くものや、サッと血の気の引いて青ざめるものもいる。









胡蝶が冷や汗を額に浮かべながら、早口でまくし立てた。








「急ぎましょう、それでAちゃんはどこに」








「それが、分からんのだ」








「そんな…!」







悲痛な皆の声に、煉獄は唇を噛み、悔しげに俯く。









なぜ、あの時水瀬を止めなかったのか。








その時。






かァ、と窓に泊まった1匹のカラスが鳴いた。








「誰の鴉だ?」









皆一様に首を振り、では誰の、と宇髄が言いかけた時、甘露寺がゆっくりと口を開く。









「…Aちゃんの、鴉、なの?」









鴉はまた一つ、かァ、と鳴く。途端、皆目を見開き鴉につめよる。






「俺たちを水瀬の所に連れてってはくれんか、」







鴉は静かに「ツイテコイ」と言うと、まだ昇らぬ朝日の方向へと飛び立つ。







そして、誰からともなく鴉を追って走り始めた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時

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