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「…すみません、私ばかり喋ってしまって」
「今頃気付いたか、」
「まァ、俺らも言ったってそんな大したことはねぇしなァ。」
気にするな、と二人とも言ってくれた。
2人とも怖いけど、でもやっぱり優しいのだ。
その厳しさは正義のためであって、彼らが意地悪でそのような態度をしている訳では無い。
ただやはり、顔が怖いのとネチネチと話すせいで、その良い部分を皆は見れていないのだろう。
「ありがとう、ございました」
最後におはぎを出して、不死川さんと伊黒さんに食べてもらう。
不死川さんは「あんがとなァ」と言ってひとつ食べると、一瞬、少し頬が緩んだ。
「まぁまぁだなァ」と言っていたが、美味しかったのだろう、2つ目のおはぎに手を伸ばしている。
伊黒さんは無言だが、それでも悪態をつかずに食べてくれているから、美味しいと思ってくれているのだろう。
良かった。
2人のこの顔も、ちゃんと見れて。
忘れないように、目にしっかり焼き付けるように、2人の優しげな顔を映す。
「それじゃ、そろそろ」
不死川さんはパッと私を見ると、手に持っていたおはぎを一旦置いて私の方に向き合った。
「あァ、正直何をしに来たのかは意味が全く分からなかったが…まァ、たまには来なァ」
「支離滅裂な発言は多いわ、話のまとまりはないわで頭が痛いこともあったが、まぁつまらなくはなかった。ただそれだけだ」
ごめんなさい。
私にまたはない。
2人と私が笑い合う日は、今日が最後なんです。
せっかく誘ってくださったのに、ごめんなさい。
…いいや、ちがう。
「ありがとうございました!」
私のわがままを聞いてくださって。
話だって、親身になって聞いてくださって。
だからどうか、2人が。
「私、お二方とお話できて良かった。
凄く楽しかったです。また、いつか」
きっとどこかで。
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時