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『…やっと、みんな帰ったか』








黒板を消していると、後ろからそんな声が響いて思わず振り向いた





どこかに行っていたのか、扉の近くで黒尾くんが立っていた







黒尾くんは面倒くさそうに体を伸ばしながら、私と同じように黒板消しに手を伸ばした









…冷たく……




と言っても、高いところは届かないし…








黒「………あの」







すると黒尾くんは手を止めて、恐る恐るこちらに顔を向けた







いくら冷たくと言っても無視はできないから、私も手を止めて黒尾くんの方を目を向けた









黒「……怒ってる?…朝の」







黒尾くんはどこか様子を伺っているように、ポツリポツリと言葉を並べていた







……"道連れ"






……やっぱり夜久くんとの約束のせいで…








「…怒ってないよ」








日直は帰りが遅くなる




早く帰りたい気持ちはある、だけど別に嫌でもなんでもない









黒「…本当に?」







黒尾くんは少し驚きつつも、また何かを恐れるように控えめにそう聞いてきた








「…うん。本当に」







私頷いてそう答えるも、無意識に笑顔を作っていたみたいで思わずはっとした








すると黒尾くんは大きく息を吐き出すもんだから、思わず肩が跳ねた









黒「やっと目合わせて、笑ってくれた」








そしてまたこっちを見て小さく笑っていて、そんな姿に大きく胸が跳ねた








私は恥ずかしくなってまた掃除する手を動かした








黒「俺、星野さんを道連れにしようとしてさ




それからずっと目が合わないし、…その、避けられてる気がしてさ」








黒尾くんは苦笑いをしながら話し始めた






……やっぱり…









「…もう終わり。夜久くんのせいだから」







話したいのに、話すなと言われ




冷たくしたくないのに冷たくしろと言われ、






やっぱり私には無理だった








『あ〜、約束破ったね』







その瞬間、黒尾くんではない声と金具音みたいなのが教室に響き渡り、大きく胸が跳ねた








二人してそちらを見ると、鍵を指でくるくる回しながらこっちを見る夜久くんが立っていた








黒「……さっき鍵渡したんだから部活行けよな」








黒尾くんは少し不機嫌そうにそう呟いた







夜「なんてね。星野さんよく頑張ってくれたよ」






……







隣で微かに舌打ちのようなものが聞こえたのは気のせいだろうか

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PUPU(プロフ) - あははははさん» 強引なワガママを無理やりねじ込みました…申し訳ないです… (2021年1月6日 21時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
あはははは - ワガママしすぎwおかしいw (2021年1月6日 20時) (レス) id: 0050c00856 (このIDを非表示/違反報告)
PUPU(プロフ) - 瑞稀さん» そんな…!(´;ω;`)ありがとうございます!いろんな意見を取り入れて、別ルートも作るつもりです(^^) (2020年2月13日 12時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - すごく面白いです。感情移入して泣いてしまいました…笑 個人的には研磨落ちも見たいですがクロ寄りですかね…??どんな結果でも楽しみにしてます! (2020年2月13日 3時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:PUPU | 作成日時:2020年1月14日 21時

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