光を求める少女の話 【文スト】【太宰治】【３】

第八十九話＿尾崎紅葉 ページ3

．


尾崎「二人とも息災じゃったか？

特にA、そなたの事は本当に心配しておったのじゃぞ？

あの時よりも美しい綺麗な女性になったの」



A「ッ………」



こんな形で再会なんてしたくなかった
自分に向けてくれる優しい表情を見ると尚更………



尾崎「Aもそうじゃが、鏡花も私がどれほどそなたを案じ胸を痛めたか。このような……獣畜生共の下にそなたを残す事になって」



尾崎は尖ったヒールの先で敦を踏みつけた
其れにより敦は激痛で呻き声を上げる



尾崎「じゃが私が扶けに来た。もう心配は要らぬぞ」



鏡花「何故、貴女が……電話を」



A「業者を……拷問して……吐かせた」



尾崎「その通りじゃ。流石じゃのA」



尾崎はヒールの先端を敦の傷口にめり込ませる



尾崎「もう何も思い煩う事は無い。私が守ってやろうぞ」



敦「(くそ………！)

彼女はもうマフィアには戻らない！

彼女の力は探偵社の仕事で振るわれるものだ！」



敦の言葉を聞いた尾崎の頬から涙が流れた



鏡花「………！？」



尾崎「矢張り……鴎外殿の許可など待たず来るべきであった。このような欺瞞(ぎまん)と偽善の巣にそなたを一秒も置いてはおけぬ」



尾崎は優しく鏡花を抱きしめる



尾崎「可哀想な鏡花や

甘言に唆され、其所が光の世界と勘違いしたのであろう

じゃが奴等はいずれ云うぞ

＿＿夜叉白雪を使えと」



鏡花「！」



A「鏡花に変なこと吹き込まないで、姐さん」



尾崎「！A……」



拳銃を尾崎に向けるA
先程まで差していた傘も閉じて彼女は完全に戦闘態勢に入っている
Aさえ居れば安心だ……と敦は思っていた
けど……見てしまった。彼女の拳銃を持っている手が震えている事に……気付いてしまった



敦「Aちゃん……？」



尾崎「太宰が居なくても行動が出来るようになったのか」



A「…………」



尾崎「だが本当にその引き金を引けるのかえ？A？」



A「ッ………」



敦「Aちゃん！！君の異能で鏡花ちゃんをッ！！」



彼女の異能は太宰が敵にならない限り、勝てる異能力者などいない
だから敦は異能で尾崎を操り、鏡花を助け出せると思っていた、けど＿＿＿



A「ごめん………ごめんッ、敦ッ！」



敦「Aちゃん……？何で………」



尾崎「哀れじゃのう……A

太宰に唆された挙げ句、お主の本質に何も気付いていない者からの期待の眼差し

お主にとってはさぞや息苦しかったであろう」



A「ち、がうッ………」

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