第11話 ページ13
「そういえば、グルッペン様。この間後輩と『恋』について話したんです。」
「ほう。」
特に興味はなさそうね…。
やっぱり整ったお顔をしていらっしゃるし、恋愛経験豊富だったりするのかしら…。
ちょっと複雑な気持ちになりながら、膝の上に置いた本を捲る。
別に戦争が好きなわけじゃない。
歴史だってそんなに得意じゃないし、知りたいとも思わない。
ただこの方と共通の話題になるから、この方の好きなものだから。
だから学ぶ、それだけ。
「目が合って嬉しかったり、体が触れ合うと鼓動が激しくなるものだと言っていました。」
本をおもむろに閉じ、グルッペン様の手に触れる。
少し上にある端正なお顔を見つめる。
確かに聞こえ始める鼓動と共に、胸が締め付けられるような痛みに襲われる。
「………これは『恋』なのでしょうか。」
答えを聞くのが、怖い。
もし仮にこれが『恋』だったとして、どうする。
叶えるために努力をする?
結婚の障害になる可能性を考えて抑える?
後者は……嫌だ。
でも『恋』を叶える努力なんてしたことがない。
……私は、アドリブが苦手なんだ。
『恋』だなんて予測不可能なこと、できるわけがない。
「……Aさん。」
「…はい。」
「一緒に住みましょう。」
「はぇ?」
「Aさんの望み通りに結婚したら同居するんですから。」
え、結婚?同居、え?
でも、その言い方だと、まるで…
「私との結婚を考えていてくださっていたのですか…?」
この方の頭の片隅にでも存在できたのなら、嬉しい。
こんな小娘、相手にされていないと思っていた。
そういう風には見てくれていないだろう、と。
「まぁ、嬉しい…!ぜひ、ぜひ居候させてくださいませ!」
満面の笑みで言ったが、グルッペン様はカチンと固まってしまった。
キョトンと見つめると、若干ひきつった笑顔で、
「いそう、ろう…ですか…?」
「…?はい、婚約していただけるよう、精進しますね。」
とりあえず、私を『恋愛対象』として見てもらえるよう努力しましょう!
長い戦いになるでしょうが、辛抱して見せます。
だから…だからいつか、私をお嫁にもらってくださいな。
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ルリ(プロフ) - すっっごく面白いです!!!応援してます!!更新頑張ってください!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - うへぇ…お帰りです〜、椿ちゃんのほうも復活ですか? (2019年9月23日 18時) (レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
はったり - 推しが毒素だからいいのだけれどトントンとくっつくと思うとチクチク来るなぁ (2019年9月23日 16時) (レス) id: 41ac5a4538 (このIDを非表示/違反報告)
雨ヶ谷 Q(プロフ) - まむしさん» あ、良かったです、心置き無く読者に戻ります〜大好きです! (2019年9月9日 1時) (レス) id: 979aff1ee1 (このIDを非表示/違反報告)
まむし - わかりました!!あ、ご迷惑をおかけしました…! (2019年9月9日 1時) (レス) id: a1ee0471bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まむし x他1人 | 作成日時:2019年8月12日 21時