ゲーマー少女、追われているんですけど。

花開く心 ページ35

？？side

親に売られた。

でも悲しくはなかった。

もうどうでもいいから。

『あの〜すみません』

そんなときだった

『少しこの子とお話させて貰いませんか？』

「あ？何だお前」

にっこりと微笑む女性に声をかけられたのは

『ねぇ、君可愛らしいね。お名前は？』

「…………………………」

話したい。名前を言いたいけれど。

「そいつには名前がないんだよ。親が付けてないんだ。これ以上話したいなら金を払いな」

『お金ですか………』

女性は少し考えるような素振りを見せると、
懐を漁った。

『そうですね、これくらいなら良いのですか？』

「こんな大金………まぁ、良いだろう。」

お金を見たことない私でも分かるほどの大量のお金。

なんで私なんかの為に。

『お嬢さん、私はまだ未熟だから君を助ける事が出来ない。
でも、また出会う事が出来たらその時は君の名前が知りたいな。』

また会うときの為の目印に、とまた懐を探って取った手にあったのは

『見て、綺麗だよね。私の大切なもの。』

不思議な形をした耳飾りだった。

耳に穴を空けなくても着ける事ができるものらしく、着け方も教えてもらった。

『また会えたらもう片方あげるよ。
私の名前は猫屋敷 A。
それじゃあまた会う日まで！！』

手を振ってAさんの姿が遠ざかって行く。


何だろう、なんだか胸の辺りがぽかぽかする。

また会えるといいな、Aさん。

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