◇１８ ページ18
･
人に聞いて答えを出すほど、私は無責任な人間に成り下がってしまったらしい。
廉「どうするって、･･何が？」
『私の立場だったら』
廉くんの気持ちが知りたければ、私の気持ちを知って欲しい。
ふと、そう思ったのだ。
廉「そんなん簡単やん」
『えっ、どうするの？』
廉くんは迷いもせずに堂々と言った。
廉「自分に向いてくれるまで一途に待つ」
意外にも、考え方は同じだった。
だけど、それに安心するのも束の間、
廉「･･けど、今の俺の立場やとめちゃくちゃ奪いたい」
『････ッ』
言葉をなくす。
こんなに何も言い出せないのは自分の無念さか、
それとも彼の意思なのか、。
『そっか、そうだよね･･』
立場を変えれば、誰だってその人の気持ちを理解しようとする。
けど結局は、自分に置かれた立場が現実を動かすのだ。
廉「俺は好きな人が幸せになれば、とか一切考えんからな」
その気持ちは分からなくもない。
だってそれは、私も同じだからだ。
あの人が幸せになれば、と思う反面
やっぱりそこに自分がいないと、納得したくてもできないのだ。
廉「ガッカリした？」
『え、』
眉を下げてそんな顔をされると、胸がキュッと苦しくなる。
『ううん、むしろ共感した』
廉「なんやっ、それっ」
廉くんに聞いたように、自分も考える。
もしも自分が、廉くんの立場だったら･･
ずっと好きなのに、彼が浮気している彼女となかなか分かれてくれなかったら。
そりゃ、いろんな意味でムカつくし、腹も立つ。
そっか、廉くんだって立場は違えど、同じ思いをしてるのか。
そう思うと我が儘ばかりの私はとても子供に思えてくる。
廉くんの方がよっぽど大人だ、。
『ごめん、廉くん、･･もう一つ聞いてもい？』
廉「ええよ」
何か変わるなら、それに賭けてみる。
『廉くんは、私にどうして欲しい？』
人生何が起きるかわからないから、人は悩み苦しむんだ。
彼はまっすぐ私を見て確かにそう言った。
廉「･･俺んとこ、来て欲しい」
やっぱり答えは単純なほどにハッキリとしたものだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななみ(プロフ) - 廉君と両思いになってよかったです。まるで映画みたいにドキドキ、ハラハラしながら、焦ったくなりながら、最後には温かい気持ちになりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございます。他の作品も読ませていただきます。 (2019年11月11日 1時) (
レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - muheさんのお話、Twitterやインスタでも読ませて頂いてます！このお話は特に大好きなお話なので続編希望です！これからも応援してます！ (2019年7月7日 13時) (レス) id: 41431b5220 (このIDを非表示/違反報告)
みなゆか(プロフ) - 続編だしてほしいです！！ (2019年5月29日 2時) (レス) id: f99e6b0772 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - 一気に読んでしまいました(>_<)一途な廉くんが素敵で素敵で、すごく感動してきゅんきゅんしました。このお話ほんと大好きです！！ありがとうございます！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 45e922be8f (このIDを非表示/違反報告)
ちあ(プロフ) - はじめまして。完結おめでとうございます。読み始めたのは最近なのですが、毎回更新を楽しみにしていました。とても感動しました。何度も泣いてしまったりして...こんな素敵なお話をありがとうございます。 (2018年8月16日 13時) (レス) id: f185f740ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：muhe
| 作成日時：2018年7月16日 0時
