罰ゲーム ~Yuta.Kishi~

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それはお昼休みのこと。







周りの空気に流されるまま、岸くんとわたしは2人で屋上にやってきた。








岸「Aっていっつもパンだよなっ」








『確かに』








私がお昼に食べるものといえば、焼きそばパンとコーラ。







･･なんとも可愛くない組み合わせである。








それに比べ岸くんはというと･･･








『すごい、』








毎日、手作り弁当で








岸「俺が作った！」








君がいうとどうしても嘘っぽく聞こえてしまう。








ほんと、損ばかりで得をしない人だ。








卵焼きとか、タコさんウインナーとか･･









『岸くんの方が女子力あるね』









こうやって自虐的ポイントを自分で見つけては勝手に傷付く。








なんとも残酷な行為だ。








もぐもぐと口を動かす君はわたしにとても優しい。








岸「食べる？」









察してその言葉がでるのならもう言うことはないだろう。








『えっいいの？』









すると君はコクンッと頷いた。








女子の作る弁当ですら食べたことのない私が、ましてや男子の手作り弁当を食べれるなんて･･








こんなこと今後にしても絶対ないと思う。









『じゃぁ1つ食べてみたいっ！』







岸「ほいっ」








卵焼きを箸に挟んだまま、私の前にだしてきた岸くん。







『･･え』








彼は誰とでもすぐに距離を縮められる。








だからこの2人だけの空間も、時間が経つにつれ少しずつ慣れてきた。








違和感を感じることもなくなってきた。








･･･なのだけれども








岸「ほら早くしろよっ」








わたしと彼の関係性は、ただのクラスメイトではない。








『う、うんっ』








ぎこちない表情を隠しながらわたしは、口を大きく開けた。








口の中に広がるほのかに甘い卵焼き。









岸「どう？」









顔をちょっと傾けて、私の方を伺う君はちょっぴり小悪魔で









『すっごく美味しいっ！！』








岸「よっしゃぁ！！」








素直な感想を伝えれば、君は小さくガッツポーズをした。









なんで、なんで･･








わたしは、岸くんと付き合ってるのだろうか

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