子犬の廉くん ~Ren.Nagase~

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あまりにも辛そうな顔をするから、わたしはテレビのチャンネルを変えた。





･･だけど、






「この子めっちゃ可愛いですねぇ！！」







映っていたのはそのモデル、、廉の元飼い主だった。






廉「ほんまテレビばっか」





そのモデルは、テレビの中で子犬を抱っこしていた。




それをなんとも言えない顔で見ている廉･･






『廉』






彼の目には既に涙が浮かんでいた。






だけど意地を張ってるからか零さずジッと耐えている。






見てるこっちだってそんな廉の顔は見たくない。






廉はとても素直。





純粋に飼い主さんから可愛がって欲しかった･･それだけなのに






これ以上、廉を傷つけないためにも、わたしはテレビを消した。






テレビから私に目線を変えた彼、、






あとちょっとで流れそうな涙、。






ダメだ、見てらんない。






わたしは大きく手を広げた。






困った顔をする廉にわたしは言う。







『廉、おいでっ？』






すると君は、静かに泣き続けたのだ。






頬を伝う涙はポタポタと床に落ち･･







『ほらっ！床汚れるっ！！』






今の君にはこれくらい雑な方が楽でしょう？






プライドとかカッコ悪いもの背負ってる君だから、わたしはそれをちゃんと理解してあげる。






廉「･･もう、ほんまッ･･しゃぁないなッ」






君は自分の力で、私を強く抱きしめた。






それと同時に、






廉「なんで俺やあかんのっ？なんで他のやつにも可愛いって平気で言うんッ？犬なんて好きちゃうくせになんで･･なんでッ」






それは、私にではなく







廉「なんで俺のこと飼ったんッッ」






全て、元飼い主に対する言葉だった。






何かリミッターが外れたように、君はどんどん壊れてく、砕けてく。






弱さを見せたがらない君が、






いつも私のことを小馬鹿にする君が、







廉「初めからAに出会ってればよかったッッ！！！」






こんなに泣きじゃくるなんて･･






『よしよし、辛かったね･･苦しかったね』






ひとつひとつ声をかければ、君はちゃんと頷いてくれる。






『もう大丈夫だよっ、私がちゃんと、前の飼い主さんの分も廉を可愛がるから』







抱きしめられてるから彼が今どんな顔をしているのかは分からない。けど、







廉「構ってくれんかったら許さんからなッ」







君の安心する時のこの感覚を、わたしは完全に覚えたようだ。

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