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顔色もだいぶよくなった。
もう一度、おでこに手を当てる。
『うん、下がったね!』
紫「だいぶ楽になりました!!」
ソファであぐらをかく彼は完全な上目遣い・・
不覚にもちょっとドキッとしてしまった。
『ご飯食べれそ?』
紫「はいっ!」
何となく、いつもの平野くんに戻った気がして安心する。
台所から作ったうどんと一口サイズに切ったリンゴを運んできた。
紫「それ、A先輩が作ったんですか?」
目をちょっと大きくして、そんな驚くことかな?
『うん、そうだけど、?』
紫「うどん作れるんですね!」
『いや茹でただけだからね?』
何がそんなに嬉しいんだか、はやく食べたいと急かす平野くん。
汁はこぼさないように少なめに入れてきた。
そのまま彼に器を渡す。
紫「いただきますっ!」
『熱いから気をつけてね?』
紫「・・あ、」
『ん?』
箸を持って麺をとって、もう口なんて空いてたのに。
何かを思いだしたのかその手はピタリと止まってしまった。
『どうしたの?』
紫「・・やっぱり食べれないです」
はい、と器を私に返してきた平野くん。
『どうして?また具合悪くなってきた?』
何故か目をそらす君に、一生懸命問うけど・・
なかなか答えてくれない。
−−−−グーッ
でも、小さく聞こえてるよ?
ほんとは食べたいんじゃない?
お腹すいてるんだよね、?
ずっと逸らしてた平野くんは、チラッとわたしに目を合わせた。
『え、もしかして・・そういうこと、?』
すると、遠慮がちに頷いた彼。
それは、食べさせてほしい、という甘えだった。
なんだろ、とことん可愛いと思ってしまう。
『じゃぁ、全部食べてね?』
紫「え、いいんですかっ?」
『うん、いいよ!(笑)』
地面に正座していた私は、平野くんが座っているソファに腰掛けなおした。
うどんをフーフー冷まして、彼の前に箸で差し出す。
『はいっあーん・・』
うっすらと微笑んだ平野くんは少し恥ずかしそうだった。
どこまでも愛らしいキャラだなって。
口に入れるとこれでもかってくらい幸せそうな顔をしてくれた。
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平野かな(プロフ) - 岸くんと付き合うのもみたいです。 (2018年8月17日 6時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
くねろ - しかし、この作品に登場する方たちは知らないというね...笑 (2018年5月26日 10時) (レス) id: 26c053c045 (このIDを非表示/違反報告)
くねろ - からだ中の水分全部出すかのように涙流してました。いろんなすれ違いがあってもどかしい、主人公ちゃんの性格もいい影響をもたらしていて、良い構成の作品だと感じました笑 (2018年5月26日 10時) (レス) id: 26c053c045 (このIDを非表示/違反報告)
Y__1001kimiko(プロフ) - 後輩平野くんの続き待ってます (2018年5月22日 8時) (レス) id: c74ba2042b (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - 毎日の楽しみが一つ終わってしまって残念...!面白いストーリーでした(*´-`)続編もお気に入りして読みます!! (2018年5月22日 7時) (レス) id: 3f9dc00853 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年5月6日 11時