オオカミは赤ずきんに恋をした ~Sho.Hirano~

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＊Aside






あれは、私たちがまだ小学3年生の頃の話だ。




テレビを付けると流暢に喋っている父親の姿。








「町づくりを全力で進めて参ります！皆様の清き御一票をどうぞ宜しくお願い致します！」







政治家である父のおかげで何不自由ない暮らしが出来ているけど、、






母「A、おやつはここに、晩ご飯は冷蔵庫の中にあるから！」

『…うん』

母「じゃぁ行ってくるわね！お利口にしてるのよ？」







選挙を控えている父に付きっきりの母も、私に構っている暇なんて全くなかった。

そんな私は家だと一人でいる事が多かったのだ。






その寂しさと言ったら計り知れず、、






『帰りたくないな…』






出来ることならずっと学校でみんなと一緒にいたい。毎日そんな風に思うようになっていた。







彼との思い出はこの頃からだ。








紫「ねぇ！！いい所に連れてってあげるからついてこいよ！！」







気が付くといつも彼と夕暮れ時まで遊んでいた。

私にとって、彼は寂しさを埋めてくれる唯一の人だったのだ。








『待ってよ紫耀くん！歩くの早いって！！』

紫「ほらっ早く！！」








その日は放課後にランドセルを背負ったまま、手を引かれながらずんずん進む彼に必死でついて行った。






たどり着いた先は、道もないとても傾斜な山の中で、やっとの思いで登っていけば、、








紫「着いたよっほら！」








そこには小さな木の家がポツンと一軒建っている。

恐らく、誰も住んでいないだろう。









紫「ここ、俺とAだけの秘密基地にしよ！」

『秘密基地？』

紫「そう！誰にも教えちゃ駄目。俺達だけの内緒の場所！」

『うんっわかった！』

紫「だから……寂しくなったら我慢するな。泣きたくなったらここに来いよ！俺が一緒にいてやるから！」








この時から、、私たちはお互いに惹かれあっていたと思う。だけど、偶然は必然的だった。






天候は一転、帰る頃には土砂降りの雨が降り始める。







地盤が緩んでしまったせいで、山崩れが酷く、

助けを待っていればよかったものを、まだ子供だった私達はその中を慌てて帰ろうとした。






ただでさえ傾斜だった山の中で、足を踏み外してしまった私は、







『−−−…きゃぁぁッ、！！！』







山の中で派手に転び落ちた。…それは、








紫「Aッ、！！！？！」








6針も縫うという大怪我だった。

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