二人の女神~sho.ren~ (ページ9)

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twin venus_9 ページ9

＊平野side

放課後になると部活の準備をするやつ。バイトに行くやつ。放課後を友達と過ごすやつ。

...皆それなりの過ごし方があるけど、

紫「あっ、Aちゃんッ、！！」

彼女は誰とも喋らず直ぐに教室を出ていく。今朝言っていた通り、そのまま図書室に向かうのだろう。

慌てて後を追いかけるも先生に捕まって何やら頼まれている。

そのまま職員室に消えてった彼女は数分後.....

「じゃ！よろしくな！」

『はい...』

束になった大量のプリントを両手に抱えて職員室から出てきたのだった。

学級委員でもないのにこんな雑務、毎回引き受けているのだろうか。重たそうなプリントを落ちないように何度も持ち替えてる姿が可哀想だった。

紫「そのプリントどうしたの？」

『え、あっ...紫耀くん。よく頼まれるんだ』

本人は先生に頼まれたって言ってるけど...これただのパシリだよ、。

紫「俺が持つよ」

『えっあぁ！いいよいいよっ！紫耀くん部活あるでしょ？』

紫「今日は何も無い。だからいいのっ」

半ば強引にじゃないと持たせてくれなそうだったから、勢いでプリントを奪い取る。

『...ありがとう』

紫「どういたしましてっ！どこに持ってけばいいの？」

『理科室の隣にある準備室っ。ファイルに入れといてって』

紫「え、そんな事まで頼まれたの？」

『うん...あ、それは私がやるからいいよ』

きっと、小さい頃からこうやって生きてきたんだろうな。そう思うと放って置けなかった。

紫「Aちゃんってさ、お姉ちゃんって感じだよね」

『え？』

紫「いつも頼られてきたんでしょ？お姉ちゃんなんだからーなんて言われてさ。嫌なら断ればいいのに」

俺にも弟がいるから何となく立場的なものは理解できるけど、双子となるとより複雑なんだろうなぁ。

『...断るの、苦手なんだよね』

紫「頼んだら文句言わずにやってくれるって分かってるから頼むんだよ」

『うん、そうだろうね...へへ、』

そんなの本人が一番分かってるだろうに、なんで俺はお説教みたいな事を言ってしまったのか...

Aちゃんの表情が余りいいものじゃなかったから酷く後悔してしまった。