二人の女神~sho.ren~ (ページ40)

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＊平野side

目に沢山涙を浮かべて……今にも脆く崩れてしまいそうな表情。後悔してんの？

でもそんな顔したって俺には通用しない。今更無駄なんだよ。

自分の好きな女の子を傷付けた相手がたとえ肉親だったとしても、そこに悪意があれば俺は許すつもりなんて最初からない。

言い訳なんてあっても仕方ないじゃ済ませてやらないんだから。

__________あれは、高校1年の春。

入学したばかりで新しい顔が多い中、

教室で自然と俺の目を奪っていたのは、いつもAちゃんだった。

物静かで、凛としてる。

そんな彼女はいつも1人の世界でゆったりと本を読んでいた。

女子と変に群れたりしない姿が、珍しくて新鮮に写ったのかもしれない。

それから直ぐに。俺らの学年に双子の姉妹がいると話題になって。

まさかその双子の姉がAちゃんだとは思っていなかった。

妹も彼女と同じような大人っぽさがあるのかと思いきや、まぁ身なりも中身も正反対で。

結ちゃんは、派手に遊んでいるような一軍タイプの女子だった。

「ねぇねぇ双子居るのってこのクラス？」

「結ちゃんのお姉ちゃんってどの子？」

「全然雰囲気ちがーう！！」

「真逆なんだね双子なのにっ！！」

俺らのクラスに双子の姉がいると聞きつけた奴らが、興味津々に尋ねてきてはAちゃんの顔を見て騒いで帰っていく。

結ちゃんは目立ちたがり屋なイメージだけど、Aちゃんは人の目が苦手なようで。

いつも嫌そうに我慢してたっけ。

紫「大丈夫、？」

『ん？うんっ』

あまり自分から喋ったり、アクションをするタイプの子じゃないんだろうなぁと。

嫌なことがあっても黙ってそうだから、さり気なくいつも気にかけていたんだ。

ある日、

上靴ではなく、来客用のスリッパを履いている彼女が気になって思わず声を掛けた。

紫「今日どうしたの？」

『あ…忘れちゃって！』

週明けでもないのに忘れるなんて変だと思ったんだ…昨日は普通に履いてたし。

案の定、その日の放課後。

Aちゃんは一人で上靴を探していた。

忘れたのに探してるなんて……変じゃん

意図的に隠されたんだと思って、放っておけなかった。