二人の女神~sho.ren~ (ページ21)

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twin venus_21 ページ21

＊Aside

自分の部屋に戻ってきたけど、何やら一階で言い争っている声が聞こえてきて……

－－－バタンッ。

続くように勢いよく扉の閉まる音。

気になって玄関まで行くとそこには廉が突っ立っていた。

『あれ、結ちゃんは？』

廉「怒ってでてった」

眉をしかめて面倒そうにこめかみをポリポリ…

『え！？ちょっと！！何で追い掛けなかったの？』

補導されて帰って来たばかりなのに、ちっとも反省してないじゃない。

廉「知らんわあんな奴」

何を話していたのか詳しくは聞けなかったけど、きっとそれなりの何かがあったのだろう。

好きな人から言われる言葉に家を出てくなんて……どんなに辛かったのか、考えても想像できない。

リビングで時間を気にしながら結ちゃんの帰りを待っていたが、なかなか帰ってこず。

外からは雨音が聞こえてきた。

廉「なぁ、もう寝たら？」

自分の家に戻ればいいのに、リビングの入り口から私の様子を伺う廉。

『結ちゃんが帰ってくるまで待ってる』

廉「放っとけって。構って欲しいだけやろアイツ」

確かにそうなのかもしれないけれど、だからって突き放すのは酷だ。

『私、外探してくる…』

廉「は？お前アホなん？本降りやぞ」

部屋から上着を持ってきて玄関で靴を履いていると少し強引に止められた。

『パパとママも探してるし。廉も行こ？』

廉「嫌や」

『なんでっ！！結ちゃんは廉に探して欲しいんだよッ』

廉「はぁ？だからってなんで俺がそれに従わなあかんねん」

結ちゃんが廉の事をどれだけ好きだと思ってんの。その気が無いにしても幼なじみとしての人情の薄さにガッカリした。

『もうっなんで分かってあげれないの！！結ちゃんは廉に自分を選んで欲しかったのッ！！』

それは遡ること…5年前。中学一年生の時の記憶。

廉「別に選んだつもりなんてないねんけど。俺はただAが好きやったからッ」

『そんなの私は聞きたくないッ！！』

－－－バタンッ。

結ちゃんと同様勢いよくドアを閉めて、廉を残して外に出た。

私がいなければ、

結ちゃんと双子じゃなければ……

廉と結ちゃんは結ばれていたかもしれないのに。