二人の女神~sho.ren~ (ページ22)

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twin venus_22 ページ22

＊永瀬side

廉「なんでこうなんねん…」

自分の家ではないこの空間に一人取り残されて、妙な空気に気分を悪くする。

片方は欲がなくて、もう片方は貪欲で。双子なはずやのに、どこまでも正反対に出来てるアイツら。

雨が強くなり次第に雷が鳴り響く。……確か結って雷駄目やったよな、？

自分の家から傘を持ってきて思い当たるところを片っ端から探してみれば、、

廉「あ…いたわ」

小さい頃によく三人で遊んでいた遊具のある公園。結は築山の中で小さく縮こまっていた。

妹「…何でいんの」

廉「Aに探せって言われたから」

ここでAの名前を出すのは違かったかもしれん。だけど今更こいつに気を使っても逆にあかんやろうと思った。

廉「とりあえず出てこい、そこ寒いやろ」

妹「今夜はここで過ごす」

廉「何言ってんねんアホ。はよ出て来い。俺まで怒られるやろ、ほれ」

腕を掴んで控えめに引っ張ると思ったより素直に出てきた。

でっかい傘の中に結を入れると、暗いところでよう見えんかったけど目が真っ赤で瞼も腫れていた。

廉「ブッサイクな顔やなっ」

妹「うるさいっ！！わざわざそんな事言いに来たの！？」

俺はAが好きでそれしか見えてなかったけど、こいつも同じやってんな。

頭を撫でるとぴくりと反応する。

廉「ずっと根に持ってたん？」

妹「…なにが、」

廉「サッカー部のマネージャーのこと」

あれは中一のとき。サッカー部やった俺はマネージャーの先輩が引退するのをきっかけに、一人女子を誘ってこいと言われた。

俺の中では直ぐにAが思い浮かんでいて、真面目で周りも見える。案の定、他の部員も大歓迎していて、まぁモテていた。

よく思わんかったんは結やったな。

ずっとマネージャーになると駄々を捏ねていて、そんな興味本位で勤まるもんやない。増してやコイツは…マネージャーなんて出来んと率直に思っていた。

結がマネージャーに立候補するんは俺が居るから、自惚れとかそういうんはちゃうけど、、

でも実際、そうやったし。

妹「結は別にお姉ちゃんが嫌いなわけじゃないッ……ただ、羨ましいだけなのっ。廉が居れば贅沢言わないっ、他は何もいらないよ」

片方はよく泣いて、もう片方は滅多に泣かん。こうやって知らぬ間に比べてしまうんは俺のあかんところやな。

廉「……今までごめんな？」