ガラスの靴すら ~Yuta.Kishi~

cinderella_63 ページ15

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廉「そんなベロベロなってたら岸くんひくで？」






私の腕を肩に回し直すとそのまま横抱きされて、いわゆるお姫様抱っこをされる。






『廉くんって、本当に王子様みたいだね』






なんて言いながら彼の顔をつついてみた。




すると彼は顔を歪ませて、






廉「気付くの遅いねんッ、俺は岸くんちゃうけどな」






しんどそうな顔なのに笑って誤魔化そうとしてくる。






好きなのに辛いなら･･



そんな恋早く忘れてしまいたい。






楽になりたかったんだ。





現実から逃げ続けたかったんだ、。







『廉くん、降りる』




廉「ええけど歩けるん？」




『うん、歩く』






人に頼ってばかりで成長するわけがないんだ。





それが廉くんみたいに優しくしてくれる人がいると尚更･･






門限はとっくに過ぎていて、さっきも父から鬼のように電話が掛かってきた。





でも怖くて出れなくて、何もかもを否定されたら、私は生きていく自信をなくしてしまう。





足取りが急に重くなると、






廉「もうええよA」






廉くんはまた察す。






『なにが、？』




廉「送ってく」




『れん、くんッ』






苦しくなってまた弱くなる。





成長しなきゃって自分に言い聞かせてたところなのに、。






廉「今しんどいやろ？」




『･･う、ん』




廉「なんで言わんの？言ったら嫌われると思っとんの？」






誰かにわかって欲しくていても、聞いてくれる人は誰一人としていなくて･･





それこそその中で限られた一人に当たるのは紛れもなく目の前にいる廉くんで、。





泣きそうなのを必死に堪える。






廉「そういう顔すんなや」





『ごめん』







指摘されてもすんなり立ち直れる訳もなく、、






廉「だからそういう顔すんなってキスすんぞ？」






彼の言葉に余計ボロボロと涙が頬を伝ってしまったんだ。





廉「もう、最悪やわ」







ギュッと強く強く抱きしめられて、、





道を歩く人達に丸見えとわかっていて、そんなのお構い無しに強く求められて･･







廉「俺らって縁切れへんねんな」






そう口にした廉くんは、





廉「もうアカンわ」





そう私に言うと片手で私の髪の毛を退けて、、





そっと触れるだけのキスをした。






廉「お前が悪いんやで？」






岸くんが見ていたとも知らず。

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