cinderellaboy_7 ページ7
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場所を移して私たちは都会と言えるべき街中にいた。
それから他愛もない話を繰り返した。
その時間がずっと続けばいいのにって・・何度思ったことか。
空はとっくに真っ暗、。
学校から離れた場所に来たため、ここから戻るのもなかなか時間がかかる。
岸「送ってくよ」
本当は送ってもらいたい、。
家の前まできて、何ならそのついでに親に挨拶だってして欲しい。
だけど、それは一つも叶わない。
叶えたくても、今の私には無力だった。
『ううん、門限とっくに過ぎてるし・・色々と厄介だから』
断るのすら辛くなる。胸の奥がギュッと締め付けられるこの感覚がいつになっても慣れない。
岸「・・そっか、一人で大丈夫?」
なのに君は最後までそんな心配をしてくれる。
だから正直に、素直に、・・言えなくなるんだよ。
『うんっタクシーで帰るから心配しないで』
彼に手を振りながらそんな嘘をついた。
岸「分かった!じゃぁなっ!!」
『うん、おやすみなさいっ』
彼の背中が消えるのを待つのはどこか切なくて泣きそうになる。
それをわかっていた私は自分から背を向けて歩き出すことにした。
・・なのに、
−−−−ガシャンッッツツツ。
岸くんのであろう自転車が、重力に負けて地面に響く音。
それに気付き振り返ろうとした時、
−−ギュッ、。
背中に感じる温もりは私を嫌な程に弱くさせた。
『岸、くん?』
岸「・・悪りぃ、帰したくない」
後ろから回る彼の腕がキュッと締めつけを増す。
それと同時に聞こえてきたのはドクンドクンッと跳ね上がるような岸くんの心臓の音、。
岸「あとちょっとだけ、そしたらすぐ帰るから」
『うん、』
ちょっとだけと言わず、ずっとずっとこうしてて欲しい。
私がどこにも行かないように、ずっと手を繋いでずっと見守ってて欲しい。
そんな風に思えば思うほど、現実とのギャップに嘆いてしまう。
暫くすると、ゆっくりと私から離れた彼、。
振り返ってしっかりと彼の顔を見る。
岸「見んなって」
クスッと笑った彼の耳は少し赤かった。
どうしたら良いのだろう、抜け目なんて何一つない。
岸くんを知れば知るほど、苦しいと分かってて好きになってしまうのだ。
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まなみ - muheさん!この作品もめっちゃよきです!本当に好きです!!岸くん可愛い、かっこよすぎです...。これからも頑張ってください!応援してますっ! (2019年12月23日 19時) (レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
☆pepe☆(プロフ) - とてもいいお話です!悲しい気持ちにもなりましたが、先がとても気になります(o^^o) (2018年11月13日 19時) (レス) id: 580217befb (このIDを非表示/違反報告)
彩藍(プロフ) - muheさんのお話が大好きなので、続編は凄く嬉しいです(*´`)続編も絶対に読みます!いつも素敵な作品をありがとうございます(*'‐'*)♪ (2018年11月11日 8時) (レス) id: 0a70532ba2 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 凄くいい話でした!とにかく涙が止まりませんでした。廉君のファンなので廉君の小説も書いてほしいです!最後の廉君が男らしくてかっこよかったです!主人公と同じ気持ちだったらメンタルズタズタです笑とても良い作品だったのでまたかいてください!面白かったです! (2018年11月11日 1時) (レス) id: 3c05e4ba15 (このIDを非表示/違反報告)
ひひひひ(プロフ) - みんな切なすぎて涙が止まりませんでした!! (2018年11月11日 0時) (レス) id: f98c1baa62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年7月29日 19時