cinderellaboy_26 ページ26
･
今までそんな事、一度もなかったのに･･
それから逃げるように私は彼から距離をとった。
なんで、廉くんに同情しちゃってるのだろうか。
彼の顔から流れる生々しい血に、どうして可愛そう、って思うのだろうか。
私は気が付くと自分のポケットからハンカチを取りだしていた。
それをそのまま彼の前に差し出すと不思議そうな顔をする。
廉「ん？」
『血付いたハンカチなんて使いたくないから、これ使い終わったら洗濯しないで捨ててよねッ』
何故なのか、彼に優しくしようとしている自分がとても気持ち悪い。
認めるのがちょっと嫌で、そのハンカチを彼に投げ付ければ
廉「なにお嬢様っぽい事してんねん、キャラ変？」
彼は余裕の表情だった。
『失礼なッこれでも一応ちゃんとお嬢様なんだけど』
ヒラヒラ地面に落ちていったハンカチを拾われる前にもう一度自分で拾う。
廉「自分で一応って言ってもうてるやんっ」
柔らかく笑う君の裂けた口の血を拭き取る。
彼は分かりやすく顔を歪ませた。
廉「いったッッお前もっと優しくしろや」
『うるさい、自分が悪いんでしょ？』
私は容赦なく彼の傷をつつく。
嫌がっても私が優しくしてくれないのを分かってか、大人しく我慢する廉くん。
廉「はぁーあ、ほんまついてへんわ今日･･」
彼は疲れたような溜め息を漏らした。
触れないであげようか、とも考えたけど、
そのボソッと出た言葉をちゃんと拾う。
『だったら強がるの辞めたら？』
廉「え？」
彼は柄にもなく余裕のない･･というか、目を見開いてぼんやり私を見ていた。
『私が岸くんしか見てないと思ったら大間違いだからッ！！色んなもの客観視できるくらいの器用さはちゃんとあるんだからねッッ？』
クッと眉毛を八の字にしだした彼にちょっと嬉しいという気持ちが芽生えた。
本当は、誰にも相手にしてもらえないから寂しかったんじゃないかって。
家族にも自分をちゃんと見てもらえない廉くんは、
これから家族になる私を最後の希望にしたんじゃないかって、。
気付き始めた時にすぐ、言ってあげるべきだった。
もっと早くに、彼の硬く閉ざした心を元に戻してあげれば･･
君は一人で強がらずに、素直のままでいれたのに。
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まなみ - muheさん！この作品もめっちゃよきです！本当に好きです！！岸くん可愛い、かっこよすぎです．．．。これからも頑張ってください！応援してますっ！ (2019年12月23日 19時) (
レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
☆pepe☆(プロフ) - とてもいいお話です！悲しい気持ちにもなりましたが、先がとても気になります(o^^o) (2018年11月13日 19時) (レス) id: 580217befb (このIDを非表示/違反報告)
彩藍(プロフ) - muheさんのお話が大好きなので、続編は凄く嬉しいです(*´`)続編も絶対に読みます!いつも素敵な作品をありがとうございます（*'‐'*)♪ (2018年11月11日 8時) (レス) id: 0a70532ba2 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 凄くいい話でした！とにかく涙が止まりませんでした。廉君のファンなので廉君の小説も書いてほしいです！最後の廉君が男らしくてかっこよかったです！主人公と同じ気持ちだったらメンタルズタズタです笑とても良い作品だったのでまたかいてください！面白かったです！ (2018年11月11日 1時) (レス) id: 3c05e4ba15 (このIDを非表示/違反報告)
ひひひひ(プロフ) - みんな切なすぎて涙が止まりませんでした！！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: f98c1baa62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：muhe
| 作成日時：2018年7月29日 19時
