4-35.ぶりっ子ちゃんの無礼 ページ36
ドドドッと沸き起こる爆笑。手を叩いたり崩れ落ちたり肩を震わせたり涙を零したりして各々「にゃまむぎ」に打ちのめされるわたしたちだが、蘭ちゃんだけは石像と化した泉先輩の顔色をうかがいながら笑いの渦に混ざっていいのかオロオロしているようだった。
「ど〜しちゃったの凛子、いつも音読とかスラスラだったじゃん！」
「これがかの有名な生麦事件かぁ！」
「犬も猫も興味無いって言ってたけど、本当は猫派だったりして」
「ち、違うわ……ああどうしてこんなことに……」
容赦ない総いじりから逃避するように両手で顔を覆う泉先輩。多分顔色は赤くも青くもないと思う。けれど手で隠れたその表情は、いつもと少し違っていたり……なんて願望混じりの推測をするうちにわたしはちょっといい気になり、おちょくりに加担した。
「にゃ〜んてこったい！ 泉先輩ってばぁ、にゃまむぎだなんて可愛いにゃ〜ん♡ ということは〜もえたんと泉先輩は仲間ですね〜！ だってもえたん、『猫』被りなので〜！ なんちゃってぇ〜〜♪」
と言い終わる前に指の間から覗く眼光のナイフが素晴らしい切れ味を伴ってわたしの眉間を突き立てたので、後ろめたい気持ちを滲ませながらも「ごめ〜んにゃ♡」と猫のポーズで生意気な謝罪をしでかした。するとまたもや笑いが弾け、いよいよ泉先輩はお手上げ状態。こいつじゃだめだとでもいうようにわたしを視界から除外し、唯一茶化さなかった蘭ちゃんを見た。早く次の番を申し出てこの調子が狂うような状況を終わらせてくれ……慎ましい後輩だけが頼りだ……と最後の希望を託すような眼差しで。
そんな旗色の悪い泉先輩の心境を察したのか、一もニもなくジェンガに手を伸ばした。緑色に指先が触れたが、何かを振り払うように青色を引き抜いた。
「ねぐらん、なんて書いてあったの？」
引いたブロックを見つめたまま立ちすくんでいるので、もりりん先輩が怪訝そうに尋ねた。蘭ちゃんは心底申し訳なさそうに口を利いた。
「その……『みんなと一人ずつハイタッチする』……とありました」
ろくでもないお題じゃなくてよかったと安堵するわたしたちと相反して蘭ちゃんはというと、目を伏せてもじもじしつつ「恐れ多い……」「先輩方とハイタッチなんて……」といった言葉をぼそぼそ繰り返していた。
そこへ誰よりも早く蘭ちゃんに歩み寄ったのは、意外千万にも泉先輩であった。
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やま(プロフ) - 更新待ってます!! (2021年9月19日 18時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - もえたん可愛いですね！私自身、ぶりっ子の事が嫌いまでとはいかないけど少し苦手意識があったんですが、この作品を読んでぶりっ子への意識が変わりました！ありがとうございます！これからも更新頑張って下さい！！ (2021年8月24日 1時) (レス) id: 12dcb448c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜瑠 - 面白くて、『一周回ってぶりっ子を許せる小説』から一気見しちゃいました！！皆大好きです！！次の更新楽しみにしてます！！ (2021年7月19日 19時) (レス) id: ef33b3228d (このIDを非表示/違反報告)
桜夜桜もち - こんな一生懸命で可愛いぶりっ子なんて許す以外に方法あります…?! (2021年7月17日 15時) (レス) id: 54667db88c (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - リカさんさん» ありがとうございます！！お楽しみいただけてとっても嬉しいです！これからもぶりっ子の可能性を発掘していきます！偏見や先入観だけで片付けるには、あまりにももったいない逸材なので……！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2020年3月30日 18時
