4-14.ぶりっ子ちゃんの発覚 ページ15
視界がぐらつき、もはや立っていることさえおこがましくなり、数歩後退ってへなへなとしゃがみ込むように正座し、地べたに三つ指をついた。
来るであろう夏目先輩の制止を振り切り、音もなく床に額を付けた。
「も、百恵ちゃんっ！？ 一体何を！？」
「『もえもえ☆ペコリン』です……」
「そんな可愛い名前付けたってジャパニーズ土下座じゃないか！」
「力不足によりももえーるが出来ないこと、どうかお許しください……」
「と、とんでもない！ そもそも強引にやらせようとしたおれが悪いんだ！ おれが謝らなきゃ！」
まさかと思って見てみれば、すでに夏目先輩が正座を始めていた。
全力で阻止した。
〜〜〜〜〜
ももえーる不発事件が落ち着いてから、こう尋ねられた。
「明日も、ここ来る？」
これといった予定もないので来るつもりだと答えると。
「同じ仮入部員だし、FINE交換しない？」
驚きのあまり、喉奥辺りで言葉が渋滞して声が出てこない。けれど早く返事をしないと難色を示しているように受け取られかねないので、こくこく頷いた。
蘭ちゃん、もりりん先輩、泉先輩、そして夏目先輩。寂しかったFINEの友達欄が、二学期に入ってこんなにも賑やかになるなんて。
首尾よくQRコードの画面を開く。蘭ちゃんと交換する時は、おぼつかない手つきで関係ない画面を反復横飛びしていたものだ。
夏目先輩が近づいてきて、スマホをかざしてQRコードを読み取ってもらうと、目の前の夏目先輩の画面にわたしのアカウントが表示された。
ちょうどその時。突然スマホのバイブ音が同時に鳴り、通知バーが降ってきた。
わたしと夏目先輩。同じ通知だった。
『亜久亜りうむちゃんねる が動画を投稿しました』
顔を見合わせたまま、数十秒たった。先に動いたのはわたしだった。
「りうむちゃん、ご存知なんですねっ！」
「わたしいつも見てます！」と抑えきれない興奮を爆発させ、選りすぐりのりうむちゃんの笑顔のスクショを突きつける。夏目先輩は固まったままだ。やがて意志を持った目でわたしを見つめた。そして真横に逸らした。何か考えている様子だ。
やがて意を決したようにもう一度わたしと目を合わせると、苦笑いした。
「実はね」
画面のりうむちゃんを指差してから、夏目先輩は言った。
「おれの妹」
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やま(プロフ) - 更新待ってます!! (2021年9月19日 18時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - もえたん可愛いですね！私自身、ぶりっ子の事が嫌いまでとはいかないけど少し苦手意識があったんですが、この作品を読んでぶりっ子への意識が変わりました！ありがとうございます！これからも更新頑張って下さい！！ (2021年8月24日 1時) (レス) id: 12dcb448c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜瑠 - 面白くて、『一周回ってぶりっ子を許せる小説』から一気見しちゃいました！！皆大好きです！！次の更新楽しみにしてます！！ (2021年7月19日 19時) (レス) id: ef33b3228d (このIDを非表示/違反報告)
桜夜桜もち - こんな一生懸命で可愛いぶりっ子なんて許す以外に方法あります…?! (2021年7月17日 15時) (レス) id: 54667db88c (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - リカさんさん» ありがとうございます！！お楽しみいただけてとっても嬉しいです！これからもぶりっ子の可能性を発掘していきます！偏見や先入観だけで片付けるには、あまりにももったいない逸材なので……！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2020年3月30日 18時
