3-39.ぶりっ子ちゃんの理想 ページ40
夜。あと数分でプレゼン本番の日付に変わる。明日の準備をしてからベッドに腰を落ち着かせ、Twinterを開いた。
『今日も一日お疲れ様です♪ お魚さんがステキな夢を見られますように、おやすみなさい♡』
りうむちゃんは、毎日欠かさずおはようとおやすみのメッセージを投稿する。おやすみと言われたら、お魚さんとしては夜更かしせずベッドに入らざるを得ないのだが、今日はまだ電気を消したくなかった。自分というものを、ちゃんと整理しておきたいから。
この二週間で、やっと分かったかもしれない。わたしの理想像を。大切にすべきものを。
高校デビューを志した時は、志真崎さんを理想像とした。キラキラしていて、誰に対しても明るく、笑顔を絶やさない彼女に。
そしてぶりっ子を目指した時は、りうむちゃんを理想像とした。ぶりっ子の持ち味を活かしながら、誰も彼も楽しませようと奮闘する彼女に。
そこに偽りはない。ふたりとも、今もわたしの憧れだ。けれどもそれだけじゃ足りない。このふたつの理想像は、あるものに支えられていた。それも、大昔から今まで、ずっと枯れずに残っていた根っこによって。
ようやく気づけた。わたしの心底には、かなえちゃんとひめのちゃんが生きていたのだ。
高校デビューの後押しをしてくれたのは、かなえちゃんだ。わたしにステッキを振って、幼い頃から抱いていた変身願望を呼び覚まし、髪の毛を茶色に染め、桃色のリボンをツインテールに結び、カチューシャを挿す魔法をかけてくれたのだ。
「もえたん」の下敷きになってくれたのは、ひめのちゃんだ。嫌われないぶりっ子でいられる術を、りうむちゃんの振る舞いに補足を加えながら教えてくれたのだ。
どれが一番大切なのかなんて決めなくてもいい。どれも大切だ。単純化したくて一番を決めて他を切り捨てた瞬間、わたしはわたしでいられなくなってしまう。この少し判然としない構図のままでいいのだ。それが朝戸衣百恵だから。
――そうとすれば、わたしはなるべくしてぶりっ子になったのかもしれない。道を踏み外したのではなく、かなえちゃんとひめのちゃんに手を引かれながら、本当にそこがわたしが歩むべき道だと信じて進んだのかもしれない。結果、そこは道だった。蘭ちゃんたちが、わたしでも歩ける道にしてくれたのだ。
わたしはFINEを開いた。送り先は蘭ちゃんだ。ちょっとしたメッセージを打ってから、明日に備えて眠りについた。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
