3-31.ぶりっ子ちゃんの待機 ページ32
あの不思議な男の子の消息が少し気になりながらも、翌日。
「来るかな来るかな〜♪」
「来たらいいな……」
四限目の授業が終わったと同時に、わたしたちは昼食も取らずにかつておトイレランチでお世話になったトイレに来た。もちろん例に漏れず、わたしたち以外に人はいない。
こここそが、孤独の果てだった。ここに来る時の足取りは、いつも重たかった。ここで食べるお弁当は、いつも無機質な味だった。個室に閉じこもり、誰にも知られないまま昼食を終え、誰にも知られないままお昼休みを過ごしたのだった。誰にも、知られないまま。
――でも、それはもう過去になった。わたしと蘭ちゃんが、淀んだ孤独を鮮やかな色で塗り変えたから。
録音アプリを開きながら、じっと待つ。一人ぼっちだった時も、蘭ちゃんと友達になる時も、支えになってくれた恩人の声を聴くために。
願いが通じたのか、放送開始音が静寂を破った。待ち侘びていたその音に、わたしたちは目を合わせてそわそわした。
「こんにちはーっ！ 三年二組、清く正しい生徒会長、
清く正しい(？)生徒会長の夏目先輩はいつも元気だ。しかも今日はいつも以上にそのボルテージが高い。
「おれの妹がね！！ 素晴らしいことを成し遂げて！ もう……嬉しくて！ お祝いにプレゼントをしたら、喜んでくれて！ さらに嬉しくなって！ そんな感じで数日間浮ついていたら、とんでもないやらかしをしてしまいました……」
と思いきや、短時間で最高潮にまで達していた元気はみるみる萎んでいった。下手な外国のジェットコースターよりも忙しい変動だ。
「この間、お昼ご飯にコンビニで親子丼を買って帰ってきたんです。よく見ると刻み海苔の袋と七味の袋が別々に付いてたので、まず刻み海苔をかけて、で、それから七味もかけようとした瞬間、あって気づいて。ちょうどその時風邪気味だったから、食前に飲む漢方薬を用意してたんですけど、そういえば飲んでないことに気づいて。うわー粉薬嫌だなーって思いながらもその袋を持ってきたんですよ。そしたらさ！ ……さっきの七味と間違えて、漢方薬を親子丼に振りかけてしまいました……」
なんというやらかし。今まで散々やらかしてきたわたしでさえ身震いするほどだ。思わず共感したが、流石にわたしと同等にしてしまったら先輩に失礼なので堪えた。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
