3-26.ぶりっ子ちゃんの心根 ページ27
亜久亜りうむちゃんの歌。わたしと蘭ちゃんを繋げてくれた歌。
良いことが起きると一緒に喜びを膨らませ、辛いことが起きると立ち直るまでずっとそばに寄り添ってくれる、そんな歌声。
「すごく素敵……」
「でしょでしょっ♪ もえたんの〜大好きなお歌なの♡」
うっとりとした表情。初めて聴いた時も、そして今も、わたしは蘭ちゃんと同じ表情だと思う。それ以上言葉を交わさず、わたしたちは余韻に浸る。
さり気なく隣の蘭ちゃんに体を寄せて、肩同士ひっつけてみた。蘭ちゃんはわたしを見た。気付いているようだ。けれど離れることはせず、ひっついたままでいてくれた。触れ合う肩を通じて、りうむちゃんがくれた幸せを静かに共有した。
「朝戸衣さん……ひとつ、訊いてもいいかな」
「なぁに？」と夢見心地のまま次の言葉を待ち受ける。
「……朝戸衣さんは、ぶりっ子になって後悔しなかったの？」
はっと、微睡みが覚めた。
でも、案外冷静に答えられた。
「したよ」
事もなげに短く紡ぐわたしを、蘭ちゃんは驚いた様子でじっと見た。
「いっぱい、した」
まぶたをふっと閉じる。夢は見られないけど、その代わりに今までの記憶が淡く映った。
辛さ。苦さ。やるせなさ。すべてわたしを苦しめた嫌悪すべきもの。――今まではそうだった。
「でもね」とまぶたを上げると、テーブルの上のかなえちゃんとひめのちゃんが一番に映った。思わず出来たももえがおで、わたしは言い切った。
「昔の自分より、今の自分の方が好き」
こんなに幸せな気分、生まれて初めてだ。もし「もえたん」にならなかったら、生涯味わうことがなかっただろう。
どんなにへんてこな色であっても、朝戸衣百恵の何色にも属せない人生を塗り替えてくれたのは、紛れもなく「もえたん」なのだ。これだけは、違いない。
「そっか」と蘭ちゃんは言った。驚きと安堵を柔らかく包んだような声で。
〜〜〜〜〜
りうむちゃんの質問箱に文章を送り、プレゼンの構成の肉付けを軽くした後、時間の許す限りわたしたちは自由にくつろいだ。
一緒にりうむちゃんの動画を見たり、かなえちゃんトークをしたり、課題の愚痴だったり、先生の噂話だったり、全く中身のないやり取りだったり。
本当に、楽しい時間ほど、あっという間に過ぎてしまう。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
