3-25.ぶりっ子ちゃんの算段 ページ26
しばらくして、お母さんが蘭ちゃんの手土産のシュークリームを持ってきてくれたので、一旦研究を中断した。
「塒さんが来てくれたおかげで、ぶりっ子研究がすっごく捗っちゃった♡ こう、視野が広まったっていうか！」
「こ、こちらこそ、新しい発見ばかりで楽しかった……！」
包み紙を丁寧に折り畳んでいると、ふと何か閃いたらしく、大きく肩を揺らした。
「……学校で、アンケートをとるのはどうかな？ もっと色んな人のぶりっ子の見解を聞いた方が、プレゼンの内容も充実しそうじゃない……？」
全力で賛成しようとした拍子にわたしはシュークリームを喉に詰まらせた。何度もむせて蘭ちゃんに背中をさすられながら、ぶりっ子には程遠い潰れた声で言う。
「うん……うん……グッドアイデアだよぉ、塒さん！」
「でも同級生に聞くのは何となく気まずいから、私たちのことを知らない上級生の方とかにターゲットを絞って……」
「そうだね！ 上級生さんかぁ〜緊張しちゃうな〜」
なにしろ移動教室でもない限り上級生の階に立ち入ることが一切ないので、名前も顔もまともに知らない。怖い人ばかりだったらどうしよう、なんて少し及び腰になる。
――あ、でも。名前と声は馴染みのある上級生さんなら、ひとりだけいる。
「夏目先輩っ！」
口をついて出た救世主の名前に、蘭ちゃんの目が輝いた。
「生徒会長さん……？」
「うん！ お便りも書こうよ！ もしかしたらプレゼン当日までに読んでもらえるかも！」
「そうだね……！」
プレゼンのためだ。わたしたちは人脈が皆無に等しいので、一筋でも希望があるなら縋っていかねば。
「あとは〜……」
誰かを探すように自分の部屋を見回す。わたしたち以外誰もいるはずないのにな、と戻した視線を手元に落とすと、ひとりの女の子と目が合った。
ふたりで手を取り合う一巻の表紙。主人公の隣のひめのちゃん。
――髪型こそ違うけど、同じ水色の髪をしたぶりっ子が目に浮かんだ。
「亜久亜りうむちゃん！」
突然出てきた知らない名前に首を傾げる蘭ちゃんに、パソコンの画面を向けた。
「朝戸衣百恵が、もえたんになったきっかけ♡」
わたしの根底。
わたしの支柱。
わたしの陽光。
もえたんを形作った彼女を、どうしても蘭ちゃんに知ってほしかった。
音量を上げてから、再生ボタンをそっと押す。
すると、毎晩聴いている彼女の歌声が流れ出した。
『ステキ♡なアクアリウム』
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
