3-13.ぶりっ子ちゃんの憧憬 ページ14
自室に戻るなり、わたしは勢いよくベットに身を投げた。
今日はなんて良い日なんだ。
だって、あの時の蘭ちゃん。本当に私なんかがいいのって、何度も確認してくるので、何度も根気よく頷いたら。
心底嬉しそうな顔をしてくれた。
あの時のやり取りをしつこいくらいに再放送する。何回繰り返しても飽きもせず口角が景気良く上がり、枕を抱きしめながらバタ足をしまくる。
お母さんも喜んでくれた。同時に、安堵した様子でもあった。仕事から帰ってきたお父さんにもこのことを報告したら、きっと同じように喜んでくれるのだろう。わたしは今まで親に心配をかけ過ぎてしまったのだ。
わたしと蘭ちゃんの関係はまだまだ発展途上。この一世一代のチャンスをモノにして、必ずやこの距離を縮めてみせる。
『友達 家 遊ぶ』
『友達 家 おもてなし』
『友達 家 部屋』
思いつく限りのワードを狂ったようにスマホに打ち込む。
二日後の土曜日に蘭ちゃんがおいでになる。その日までに準備をしなければ。
〜〜〜〜〜
翌日の金曜日。短縮授業で午前中に終わったので、自室の掃除に没頭した。
一般的な目で見れば、わたしの部屋はとんでもなく汚い。いつのものだか見当もつかないプリント類が平気で残っている。あれもこれも流れ作業の如くいらないモノゾーンに移動。
ギチギチに詰まった本棚。小さい頃読んでいた少女漫画たちを躊躇なく抜き取る。そうして長年の本棚の渋滞を解消していき、最後に一番下の段に目を移した時、卒然懐かしい記憶が流れてきた。
『マジカル少女☆かなえちゃん』
一巻を手に取ってみる。桃色のツインテールの主人公かなえちゃんと、水色のサイドテールの友達ひめのちゃんが手を取り合う表紙だった。
主人公がひょんなことから魔法少女になって悪を成敗する王道ストーリー。アニメ化もしている。不器用で失敗ばかりだけど、めげずに立ち向かうかなえちゃんが大好きだった。魔法少女姿はキラキラでフリフリで可愛くて。いつも彼女と自分を重ねながら、その胸に憧れを育てていた。
変身願望。
墨汁をかぶったような黒髪を茶髪に染めた時――ぶりっ子になろうと思った時――わたしは確かにそれを持っていた。
もしかして、わたしはなるべくしてぶりっ子になったのでは。
道を踏み外したのではなく、そこが本当に自分が進もうと思った道なのでは。
わたしの、本当の理想像って――？
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
