3-1.ぶりっ子ちゃんの起床 ページ2
長く感じる夜も、目を閉じて、また開ければ、すでにカーテンから朝の光が差し込んでいるものだ。
起床、洗顔、朝食、歯磨き。この決まった一連の流れには、学校の憂鬱がいつも重苦しく付きまとって来たが、最近は嘘のようになくなった。
あることをきっかけに。
部屋に戻る。ハンガーに掛けられた制服も、無造作にちらばった教科書も、プリント類も、カバンも、全部――最近は朝が始まった喜びの目で見つめることが出来る。
あることをきっかけに。
アイロンをかけたブラウスに袖を通し、今日の分の教科書をカバンに突っ込み、さあ身支度が整った――ように見えるが、ここからが本題だ。
地味子からぶりっ子になるための。
桃色のリボン。赤いカチューシャ。カラコン。忘れてはいけないマストアイテムを並べる。
桃色のリボンで、茶髪をツインテールに結ぶ。苦手だった蝶々結びはやっとコツを掴めてきた。次いでツインテールをゆるく巻き、赤いカチューシャを付け、カラコンを入れる。目に異物を入れるのが恐ろしくて悪戦苦闘したのも、今となっては過去の話。
仕上げに鏡の前で仁王立ちをして、
「ももえーるっ♪ キラッ☆」
笑顔で決めポーズ。今日の「ももえがお」はいつにも増して自然に作れた。鏡の中のわたしは得意満面になり、さらに口端を緩ませた。
あることをきっかけに、朝はずっとこんな調子だ。朝なんて嫌いだった。来なくていいものだと思っていた。それが、ここまで朝を受け入れた体で一日の始まりを喜べるようになるなんて。
だってしょうがない。嬉しくて嬉しくて、しょうがないのだ。
――だって、こんなぶりっ子のわたしに、ようやく友達が出来たのだから！
ぶりっ子になる以前ですら友達と断言出来る友達が乏しかったわたしに、紆余曲折の末、ようやく出来たのだ。
だから。
今日こそ、言いたい。
今日こそ、言うんだ。
「おはよう、
ううん、違う。それは言い慣れた名字だけど。わたしが本当に呼びたいのは――。
「おはよう、
彼女の名前だ。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
