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かん、かん、かんと鉄骨の階段から足音がして顔を上げると、さっきまで防水のオーバーオールに長靴の作業着姿だったスンチョルがラグランシャツにジーンズ、それにハイカットのスニーカーに着替えて降りてきた。あんまりまじまじとスンチョルの事を観察したことはないけど、彼もミンギュと同じように10年の間でがっちりとした体格に変貌を遂げていた。
袖まくりしたラグランシャツから覗く腕に浮かぶ血管が、なんていうか、
「ん、足。上げて」
ぼんやりと考え事をしている間にスンチョルは足元にしゃがみ込んでいて、下から私を見上げていたから思わずたじろいだ。
「いや、いいって。自分で履けるから、」
「汚い足で俺のサンダル履かないでもらえます?」
言い返す隙もなく、スンチョルは強引に私の手を引っ張り、自分の肩に乗せる。"捕まってて"と短く私に指示すると、片足をそっと持ち上げてタオルで丁寧に足裏を拭き始めた。ぶっきらぼうだけど、不思議と手つきは優しいのがくすぐったくて黙ったままそれを見ていた。拭き終わると、用意していたナイキのサンダルを片方ずつ差し込むように履かせてくれた。
「…ありがとう」
「ん」
彼は立ち上がると、何事もなかったようにホースを拾い上げそれをくるくると巻き上げる。その間、私は何とも言えない気まずさと居心地の悪さを抱えて、足元を見つめていた。

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ばくちゃん(プロフ) - りりさん» りりさん、ありがとうございます (3月3日 0時) (レス) id: d467c90aec (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - すごく好きです、更新楽しみにしてます、出てくる4人全員好きです。お母さんも好きです。元彼は多分好きにならなさそうです (3月2日 12時) (レス) @page47 id: 1885eeea1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばくちゃん | 作成日時:2025年1月13日 16時