化け物が百十匹。 ページ23
＊
「あ゛ああー……！」
全ての授業を終えて放課後。
他のヤツらが次々と教室を出て帰る中、俺は机の上で唸っていた。
＿＿『一之瀬、おまえ放課後俺んとこ来い』
それは、朝のクソワカメの言葉を俺が無駄に覚えちまってたからだった。
忘れてた方が良かった。なんで思い出しちまったんだ。
いつもは使えねェクセにこんなときばっか無駄に機能しやがってこのクソ頭。
ああいやだ！
行きたくねェ！行きたくねェ行きたくねェ！！
「！……そうだ。なら行かなきゃいいじゃねェか」
そうだよ。何アイツの言う通り動こうとしてんだバカか俺は。嫌なら行かなきゃいいんだ。
運良くアイツは帰りの話終わった途端、なんか書類持ってかなきゃいけねェとかでどっか行ったし、このまま帰っちまえ。
思いついたら即行動。
俺は立ち上がり教室に誰もいないのを確認すると、ガラッと窓を全開にした。
廊下から出たら鉢合わせになるかもしんねェから窓から、そう考え飛び降りようと縁に足をかけた瞬間＿＿。
「馬鹿か」
「ぐう！？」
スパンッ！と教室の扉が開く音がし、それに反応する前に俺の体はあの忌々しい布に巻かれそのまま声のした方に引っ張られた。
「おい離せこらふざけんなクソ野郎！！」
「ふざけんなはこっちのセリフだこの野郎。俺のとこ来いっつたの忘れたか」
「俺は行くなんて言ってねェよバーカ死ね！！いいから離せ！！」
「おまえに拒否権はねぇっつっただろうが」
クソワカメはそう低く吐き捨てると全力で暴れ威嚇する俺を見て、目を瞑り深いため息を吐いた。
「じゃあいい。おまえがそうやっていつまでも駄々こねるつもりなら、ここで要件を済まそう」
「は？！」
「本当なら話が漏れないように防音性の高い部屋で話そうと思ったが、しょうがないな。どうせそこまで時間かけるつもりはなかったたし、さっさと終わらせるか」
「！！」
ここで俺の個性の話をするって？こんな誰が聞いてるかもわかんねェ部屋で？嘘だろおい正気かよ？！
慌ててクソワカメの顔を見て真意を確かめたが、その目は本気だった。
「ッ！」
「どうする？俺はそれでも構わねぇが」
「………………連れてけ、その部屋に」
「随分偉そうだな」
だがまぁ、及第点か。
絞り出すように零した俺にクソワカメはそう呟くと、布から俺を解放した。
「ついて来い」
「……」
歩き出したソイツに背を向けて走り出すほど、俺は馬鹿じゃなかった。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
