化け物が百一匹。 ページ14
「こいつら、お前と爆豪が戦ってんの見て泣きだしたんだぜ？」
「！？」
「うわあああ！！」
「いーやー！！」
衝撃的なその言葉に、ピシリと俺は固まった。
泣きだした？俺たちが戦ってんの見て？
…………は？
喚いてるソイツらの声も耳に入らないぐらいに、俺は混乱していた。
「戦い始まってすぐ二人して立ち上がってよ、いやに真剣な表情で試合見つめてさ」
「そーそー。かと思ったら急にポロポロ泣きだしたんだよな。本当びっくりしたわ」
「ひいいい詳しく説明しないで……！！」
「も、もう許してー！」
「…………」
「おい一之瀬フリーズしてんぞ！？」
「い、一之瀬くん？！」
チャラ男と一緒に地味な顔のヤツもにやにやとからかうように笑いながら情報を付け足し、もじゃ男たちが呻く。
んで完全に動きの止まった俺を見て、もじゃ男は意を決して恐る恐るか細い声で話し始めた。
「あ、あのね？泣いたっていうのには特に理由はないんだ。た、ただ、USJのときの君を近くで見てたから、それを思い出して…………？ううん、なんて言えば……」
「……」
「ご、ごめんね！説明下手で！
……えっと、僕は君が傷つけられるのを見てることしかできなくて、君の中の何かが壊れていくのを止められなくて。それでその後、目を覚まして学校に来た君の目を見たとき思ったんだ。ああ、一之瀬くんは変わってしまったんだって」
「……」
「だから、試合が終わった後の君の表情を見て……嬉しかった、のかな。安心したのかもしれない。上手く言えないけど、ぐわーっていろんなものが込み上げてきて」
気づいたら、涙が溢れてたんだ。
目を逸らして、頬をぽりぽりと人差し指で掻くもじゃ男の顔は相変わらず赤くて、何故か汗だくで。
俺はその話を聞いて、なんだかわからねェ感情がぐるぐると体ん中を駆け回るのを感じた。
「あ、ご、ごめんね、気持ち悪いよね！うん、ごめんね！」
「気持ち悪くなんかないよデクくん！私もおんなじ！Aくん、戦ってるときずっと苦しそうだったから……初めてAくんの笑顔！って感じの表情見て、感極まっちゃったよね！」
「…………」
ぐるぐるぐるぐる。
変な感情が頭のてっぺんから足の先まで通り、どんどん加速していく。
そして血液もドクドクと血管の中を暴れだすのを感じて＿＿＿＿
「があああ！！！」
変な感情がはじけて体から溢れ出す前に、俺は思い切り自分の机を片手で投げ飛ばした。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
